Toyozumi - Countryman / Jya-Ne
フリー系ドラム・レジェンドの一人、豊住芳三郎が2017年8月、フィリピンで現地のフリー系ミュージシャンと共演したライブの2枚を聴く。
Toyozumi - Countryman / Jya-Ne
(Manila Free Jazz, 2018)
Sabu Toyozumi (ds, erhu), Rick Countryman (as), Simon Tan (b, elb), Stella Ignacio (vo) Isla Antinero (tb)
The Center of Cotradiction
(Chap Chap Records, 2018)
Sabu Toyozumi (ds), Rick Countryman (as), Simon Tan (b)
2017年8月11、12日のライブから、12日のアコースティックコードレスサックス編成をセレクトしたのが後者、残るセッションから抜粋したのが前者、ということになるらしい。フィリピン側の Coutryman, Tan は『Cosmik Funkshun』というグループのメンバーだそうで、ドラマーの Christian Bucher を加えたトリオで、豊住も作品をリリースしている Improvising Beings にアルバムがあり(こちら参照)、いわばドラムを差し替えたスペシャルセッションが後者、という見方も可能だ。
フィリピン側メンバーの中では Rick Countryman が特筆すべき存在で、Colin Webster ら3人が参加したソロインプロヴィゼーションオムニバス集「Saxophone Aanatomy」が好事家の話題となったのが記憶に新しい。必ずしもフリー専業というわけでもないようだが、ソニー・シモンズを思わせるような端整な音色と、ひた向きで真っすぐなプレイスタイルには好感を持つ。
2枚のうち、トリオのみによる後者はベースにちょっと難があって、この人はフリージャズもやる人、という感じで(実際にジャズだけでなく、ロックもブルースも何でもやる人らしい)、フリーインプロヴィゼーションとしてはイマジネーションの広がりに欠けるきらいがある。一方で前者は、豊住とカントリーマンのデュオに始まり、トリオ、トリオ+ヴォーカル+トロンボーンのセッション、再びトリオ、とバラエティーに富んでおり、好みとしては前者を推す。
参考動画
www.youtube.com