あうとわ~ど・ばうんど

The Carla Bley Band - European Tour 1977

ビッグバンドの聖典 - UNIVERSAL MUSIC JAPAN」再発シリーズより。

ヨーロピアン・ツアー 1977

ヨーロピアン・ツアー 1977

Michael Mantler(tp) Elton Dean(as) Gary Windo(ts) John Clark(frh, g) Roswell Rudd(tb) Bob Stewart(tuba) Terry Adams(p) Carla Bley(org, ts) Hugh Hopper(bass guitar, bass drums) Andrew Cyrille(ds)


お恥ずかしながら初聴でござる(どこかで酔っ払ったときに耳にしていた可能性はある)。


カーラ・ブレイを初めて聴いたのは20年ぐらい前、渋谷毅オーケストラの原典を求め、当時新譜だったスティーヴ・スワローとのデュオだった。たしかに渋オケでお馴染みのメロディーたちが心地よかったのだけれど、ビッグバンド作品ではなかった。


その後、ビッグバンドも聴いてみようと手を出したのが、名盤本に必ずといって良いほど載っていて国内盤再発も多かった「ライヴ!(艶奏会)」だったのだが、妙に力強すぎるというか、変にコンテンポラリージャズっぽすぎるというか、そういう点ばかりが耳について、全く気に入らなかったのである(まあ、そもそも当時の私はビッグバンド不感症であった)。


それで、カーラのビッグバンドの魅力に気づくことなく、長らくほとんど聴くことは無かった(ただし、一枚だけ例外がある。大好きなアルトサックス奏者のカルロス・ワードが参加して、名曲「Útviklingssang」の初出(と思われる)「Social Studies」だけはよく聴いていた)が、今回の再発を前に、吉田隆一さんとリルコさんがTwitterで共に「一番好きなアルバム」と語り合っていた(こちら)のを見て、これは聴いておかなければと思い、購入した次第。


おおおお。たしかに素晴らしい。メロディーの陰影、ハーモニーそのものの持つ官能性、メンバーも皆なすべきことを分かっていてその上で存分に個性を発揮する。いやーこれを最初に聴いておけばよかった(というのは、よくあること)。あれとか、これとか、そのまま渋オケの源流の一つになっているわけだな、と納得。4曲目の「星条旗よ永遠なれ」のマイナーアレンジ(どことなく、銭形マーチに似てる気がする)や、ごった煮感も面白い。しかし、これ、日本で言えば、国歌や軍歌で遊んでいるわけで、アメリカはこういったあたりが健全というか、懐が深いと感心する。


これはたしかに聖典(名盤)。「ライヴ!」も、もう一度聴き(買い)直そうかな。


参考

www.youtube.com