あうとわ~ど・ばうんど

Trio Derome Guilbeault Tanguay / 2004 - 2012

Trio Derome Guilbeault Tanguay / 2004 - 2012
Ambiances Magnetiques, 2012
Jean Derome(as, bs, fl, vo) Normand Guilbeault(b) Pierre Tanguay(per)

この Trio Derome Guilbeault Tanguay という長ったらしいしかも何の工夫もない名前のグループ(フランス系カナダ人たちらしい)のことを知ったのは昨年、海外サイトで「Danse à l’Anvers」というアルバムを見つけたのがきっかけだった。
ジャケに写っているのは、お世辞にもかっこいいとは言えない、ずんぐりむっくりした3人の白人中年男性たち(笑)。しかし収録曲目に Jean Derome のオリジナル曲とともに、デューク・エリントンローランド・カークエリック・ドルフィー、ビリー・ストレイホーン、ミシャ・メンゲルベルクといった人たちの曲を発見して、この人たちのセンスは信用できそうだと直感。すぐに試聴してみたところ、基本的にオーソドックス寄りのスタイルではあるものの、とくに Derome のサックスとフルートの音コクが非常に良く、Amazonでダウンロード購入して時おり聴いてきたのだった。
最近、このトリオの8年間の歩みをまとめた4枚組CDが出たと知り、1枚はダウンロードとはいえ購入しているので悩んだものの、取り寄せてみた次第である。
収録アルバムは順に「10 compositions」「The Feeling of Jazz」「Danse à l’Anvers」「Wow!」。
1枚目は全10曲が Jean Derome のオリジナル曲だが、どの曲もどこかで聴いたことがあるような感じの曲だ(笑)。2枚目からオリジナル曲にまじって、エリントン、ソニー・クラークメンゲルベルクリー・コニッツといった人たちの曲、スタンダードが演奏されるようになる。3枚目は先ほど述べたので省略(しようと思ったが、一応述べておくと、カークの曲は「Rip, Rig and Panic」、ドルフィーの曲は「17 West」と「Straight Up And Down」である)。最新の4枚目にはレニー・トリスターノの曲やドルフィーの「The Baron」が演奏されているといった具合だ。
上記したように概ねオーソドックスな演奏で、正直に言えば、さすがに4枚聴きとおすのは個人的にはちょっとしんどいのだが、むろんそうでないアプローチもみせるし、Jean Derome がよく分からないヴォーカルも聴かせるし、ドルフィーの曲を演奏する時には『原典』に尊敬を払いおそらくドルフィーのフレージングをそうとう研究したであろうことがよく分かるしこちらをニヤリとさせるようなドルフィーフレーズも出てきて、ああ本当に好きなんだなー、と思わせる所が好ましい。
参考動画