Billy Harper Quintet / In Europe
OTOROKU は小休止。
Cam Jazz Italian Jazz Classics として、Cam Jazz および Black Saint と Soul Note の3レーベル15タイトルが再発されている。とくに、Black Saint と Soul Note は国内初CD化だそうで、両レーベルの第1号であるビリー・ハーパーの作品も出ている。そのうち「In Europe」が実は未入手だったので、ありがたく購入した。
- アーティスト: ビリー・ハーパー・クインテット
- 出版社/メーカー: SOLID/SOUL NOTE
- 発売日: 2016/09/21
- メディア: CD
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ビリー・ハーパーは好きだが、彼の演奏なら何でも好きというわけでもない。オリジナル曲のスピリチュアルなムードや徹頭徹尾熱く吹ききるというプレースタイルのせいもあるのだろうが、彼を至高のテナーマンとして神聖視するジャズファンもいるらしいのだけれど、実のところハーパーの演奏は、ブラックテナーにありがちなフリークトーンやブロウの快楽には乏しく、盛り上がり所なのに下降的なスケールパターンを一心不乱に吹いたりして、最初から最後まで同じ熱さで演奏するのでダイナミクスレンジが狭く一本調子で、どこを聴いても同じに聴こえたりする。などと言うとまるで貶しているみたいだが、展開がハマれば狂熱的興奮が訪れるのであって、無骨で不器用(そういえば、彼の風貌から「ジャズ界の高倉健」と呼ぶ人もいる。笑)な愛すべきテナーマンであることは間違いなく、彼のそういう部分を好んでいるのである。
アルバムは、ピアノを弾いているのが若き日のフレッド・ハーシュというのがちょっとした驚きであるけれど、こういうハーパーとは異質な感性を持ったピアニストの方が彼の音楽には合っているように思う(のちに Francesca Tanksley が長く彼のグループのピアニストを務めたことを思えば、不思議なことではない)。「ブラック・セイント」より、こちらの演奏の方が好きですね、私は。