どろんころんど
北野勇作氏の新刊「どろんころんど」を読んだ。
- 作者: 北野勇作,鈴木志保
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2010/08/10
- メディア: 単行本
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冒険の中で出合う不思議な生き物の生態や面白い出来事の数々は、実際に読んで確認してもらいたいが、述べておきたいのは、セルロイド(=セル・アンドロイド)であるアリスの“心”について。展示発表会で観客(人間)の心を掴むために、繊細な情報処理学習プログラムを備えられたアリスは、人間のような“思考”や“感情”を持つ。むろんこうしたことはSFではおなじみのテーマであるけれど、著者独特の叙情感と絡み合い、ラスト直前のエピソードで思わず落涙してしまった。
書店ではどうやら児童書コーナーに置かれていることが多いようで、著者自身も中学生ぐらいのSFの入り口になるように書いた、と言っているけれど、いやいや、むしろ大人のほうがはまりそうな気がします。