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ハナシがうごく!

ハナシがうごく!―笑酔亭梅寿謎解噺〈4〉
田中啓文さんの小説最新刊「ハナシがうごく!―笑酔亭梅寿謎解噺〈4〉」(集英社)を読む。
『謎解噺』というシリーズ名がついているが最近はミステリ成分がずいぶんと薄くなり、上方落語を舞台にしたビルドゥングスロマンとしての側面が色濃くなっていて、だがしかし、面白いことに変わりはない。
本書には『ドクトル沼津』という人物が登場してくるが、この名前は、あの人とあの人の名前の合体だそうである。また、本書に限らずシリーズを通して、『一度発された言葉は二度と取り戻せない』というような文章が(そのつど表現は変えられているけれど)出てくるので、思わず反応してしまう(笑)。という、ジャズファン向けの楽しみ方(?)もある。
現在『小説すばる』連載中の第5シーズンには「ファイナルシーズン」と銘打たれていて、どういう結末を迎えるか非常に楽しみにしている。と同時に、もっと続けていってもらいたい気もしますが・・・・・