あうとわ~ど・ばうんど

Requiem

日本が世界に誇るパーカッショニスト富樫雅彦氏が亡くなられた。
ライブ・アット・ケルン富樫雅彦トリオ」(jamrice)。2枚組み、11曲123分。富樫(per)山下洋輔(p)水谷浩章(b)。
02年3月のライヴ。その年の秋に演奏活動停止に追い込まれた富樫の、プレイヤーとして残した最後の音をとらえたもの(これより後のものがそのうち出るかもしれないが)。長年の不和を経た後に互いに信頼を得た(ことになっている)山下洋輔とのコラボレーション。富樫、山下ともに内容に満足し、山下の個人レーベルから04年にリリースされた。
オープニングチューン「ドライビング・ユー」冒頭、間を生かし音の粒ざわり鮮やかなパーカッションソロが、やはりさすがだ。ピアノに比してパーカッションが遠いという音質上の難点はあるが、富樫が山下を挑発しまくり、山下が応戦する姿が全篇にわたって繰り広げられる。
富樫とともに60年代から日本フリージャズの片方の雄であった高柳昌行の近年の再評価・リリースラッシュのように、今後、富樫の作品もどんどん出てくるに違いない。
心よりご冥福をお祈りします。