あうとわ~ど・ばうんど

at Montreux 1984

おとといの続き。本日は84年の演奏(CD3−6)を聴く。ちなみにこの時は昼夜2回公演、計3時間半なり。
この時代のマイルスは、公式盤「You're Under Arrest」は聴くものの、今まであまり関心がなかった。とはいえ、あらためて聴いてみるとイイのである。とりわけ夜の部のセカンドセット。オープニングは「Time After Time」。最晩年のセットリストの中で、「Star People」に次いで長く演奏し続けた曲の初期ヴァージョンであるが、やはりたまらん。マイルス晩年における「My Funny Valentine」とでも言うか。いや、ぼくにとっては「My Funny 〜」を軽く凌駕する素晴らしさ。「Jean-Pierre」におけるジョンスコ、「Something's On Your Mind」におけるマイルスのソロもイイ。
幼き日、世界が数々の矛盾と理不尽に満ちていて決して安息の地ではないと初めて知った時の身を切るような悲しみにも通じる、マイルス珠玉のバラードプレイ。だが同時に、われわれをそっとやさしく包み込んでくれる。