あうとわ~ど・ばうんど

Napule-tan

Napule-tan
Napule-tan/川下直広トリオ」(chitei records)。全6曲66分。川下(ts)不破大輔(b)岡村太(ds)。
さて。販売元の宣伝文句には『フェダインが帰ってまいりました』とあったが、CDには『ニュートリオ』とあるのみで、そんなことは書かれていない。で、結論から言うと、これはフェダインではない(もし名乗りたければ、止めはしないが。笑)。
大沼志朗がドラマーの時代は3者が激しく戦い(フェダイン=戦士)、全員切羽詰まった音のやり取りをしていた。が、このトリオは3者協調路線に聴こえる。岡村のドラミングはしなやかと言えるが、大沼のようなスピード感が希薄。スピード感とは、テンポが速いとか速くなるということでなく(実際速かったが)、発された音が直接脳蓋に響いてくるような一種の感覚で、それに比べると間に一枚薄膜が挟まっていると言ったらいいか。
3者協調でトータルサウンドを構築しようという意図は、フェダインの再演となる①「ナポリタン」④「ウメロック」では無残だが、クリフォード・ジョーダンの③「Vienna」とアイラーの⑥「New Generation」では成功しているようにも思える(曲の良さにも助けられているが)。渋さのレパートリーでもある⑤「股旅」は、フェダインぽい演奏で、ベストはこの曲か。
結局フェダインの幻影を追い求める『邪道』な聴き方をしてしまったが、別のバンドだと思えば悪くはない。でも、この後で「live 1991」を聴いたら、興奮度が全然違ったな〜。


(27日参照)