あうとわ~ど・ばうんど

Breakthrough

いや〜久々に聴くと、やっぱ良い。「Breakthrough/The Don Pullen George Adams Quartet」(blue note)。86年、全6曲53分(LPは全5曲40分)。Adams(ts)Pullen(p)Cameron Brown(b)Dannie Richmond(ds)。
プーレン=アダムス・カルテットの、ブルーノート移籍第1作。プーレン=アダムスはブルーノートに行って駄目になった、やっぱタイムレスだよ、いやソウルノートだよ、などいろいろな意見があろうとは思うが、久々に「Song from the Old Country」が聴きたかったのだ。
だがまあ、順に行く。①「Mr. Smoothie」から。威風堂々としたテーマである。ブルーノートに来ました、よろしく、という曲ではない。ブルーノートに来たぞ、文句あっか、という揺るぎない自信に満ち溢れる。続く②「Just Foolin' Around」でも、カマシを入れる。プーレン、アダムス共に暴れまくる。だが、どんなにグチャグチャやっても2人には、しっかり歌がある。
そして、必殺の③「Song from the Old Country」。プーレン節、アダムス節、炸裂。この哀愁がたまらん。あ〜やっぱジャズ好きだわオレ。一転、④「We've Been Here All the Time」は、肩で風切る硬派な演奏。⑤「Time for Sobriety」はアダムス作のバラード。ただしアダムスの作曲は、プーレンに比べ深みが足りないというか、若干不満が残るが。
CDアディショナルの⑥「The Necessary Blues(or Thank You Very Much, Mr. Nonk)」。プーレンのソロが、ひときわ素晴らしい。続くアダムスは、タイトルにかこつけ、『ブルー・モンク』から『リズマニング』『ラウンド・ミッドナイト』『ルビー・マイ・ディア』のテーマを挟み込み最後は『ナッティ』で締める。さらにキャメロン・ブラウンまで『ラウンド・ミッドナイト』を。


プーレン=アダムス・カルテットは翌87年に第2作を吹き込む。が、88年ダニー・リッチモンドが死去。80年代を代表する黄金カルテットは解体し、アダムス、プーレンは別々の道を進むことになる。だが92年、アダムス死去。プーレンも95年に鬼籍に入ってしまう。3人とも50代前半だった。それから10年以上経った今、彼らの代わりになる人材も、衣鉢を継ぐ人もいないという現実が、ちょっと寂しい。


ちなみに、このアルバム、現在は入手困難だが、プーレンのアフリカン・ブラジリアン・コネクション以前のBN吹き込みを3枚組に集成した「Mosaic Select」で聴くことができる。