あうとわ~ど・ばうんど

Gambit

Ken Vandermarkというテナー奏者(他にもクラリネットなど)を知ったのは、昨年、国内盤で出たAtomic, School Daysの共演盤「Nuclear Assembly Hall」だった。とりわけ驚いたのがPaal Nilssen-Loveの圧倒的なドラミングで、北欧フリーにハマるきっかけになったのだが、同時に、ヴァンダーマークのサックスにも打ちのめされた。以後、ヴァンダーマークがらみのCDをちょくちょく買っている。
先週、東京に行ったときもヴァンダーマークがらみを何枚か購入してきた。「Tripleplay/Gambit」(リリースは昨年)もその1枚。Tripleplayはグループの名前(だよね?)で、メンバーはVandermark(reeds)Nate Mcbride(b)Curt Newton(ds)。全8曲54分。ちなみに、このトリオ、ドラムがニルセン・ラヴになると、FME(Free Music Ensembleの略。ちなみにFMEのアルバム「Underground」は、個人的には、昨年聴いたジャズCDのベスト1)になる。
ヴァンダーマークはシカゴ在住というだけあって、シカゴ派(ジャズファンなら分かりますよね)直系の硬骨漢という感じがする。テナーの音は、表面上は粗っぽいが中心に一本ぶっとい芯があるというか、説明が難しいが、とても個性的で魅力的だ。持ち替えで多用するクラリネットも、テナーに比べると地味な感じは否めないが、硬質でありながら非常に温かみを感じさせる。

で、肝心の中身はというと、ブヒバヒブヒョーのフリージャズ的展開もあるにはあるが、本質は、非常に緊張感あふれるインプロによる「歌」だと思う。ベストは6曲目「Bird, Field」。中盤からのヴァンダーマークのバスクラが美しい。マクブライドのベースも非常にいい仕事をしている。