あうとわ~ど・ばうんど

Out To Lunch by ONJO

ONJO/Out To Lunch」が届いた。聴く前は、期待と不安が入り混じった妙な気分だった。一体、あの名盤をどう料理してくれるのか。想像の範囲内だったら嫌だな。単純なカバー集にはしてほしくない。できれば徹底的に換骨奪胎してほしい。かといって、あまりにもぐっちょんぐっちょんで、原曲のかけらもないような演奏もしてほしくない。(これは到底あり得ないが)オリジナルを上回ったらどうしよう。等等。
で、意を決して聴いてみた。
1曲目「Hat and Beard」(通称「モンクの大股歩き」って自分が言ってるだけだが)。あれ、意外に、まともというか正統派というか。もちろんサインウェーヴやエレクトロもいるから、ONJO風味なんだが、ヴィブラフォンサウンドなんか、モロそれっぽい。でも「ONJQ Live」での、どジャズ・ヴァージョンに比べると、こっちの方がいい。Alfred Harthのバスクラがすばらしい。
2曲目「Something Sweet, Something Tender」も同様。やっぱりハルトのバスクラがイイ。一応コレクティヴ・インプロみたいな感じになるけれど、全然まとも。ここまではまだ想定内といったところ。ちなみに、この曲、前作の「eureka」みたいに、カヒミ・カリィの歌で聴いてみたかったぞ。絶対合うと思うんだが。
と思っていたら突然、轟音が。3曲目「Gazzelloni」。オリジナルは、ドルフィーのフルートがスウィングする曲なのだが、これはハード・コア・ヴァージョンとでもいうか。面白い、思わず喝采
4曲目は「Out To Lunch」、大友良英conductと書いてある。テーマ・メロディーの大胆な切断と引き伸ばしの繰り返し。うんうん、イイよ、これ。で、切断して終わり(ブレイクではなくて、本当に「切断」という感じ。一瞬電化マイルスのブレイクを思い出した)。
5曲目「Straight Up and Down〜Will Be Back」。ちなみに『Will Be Back』はcomposed by ONJO。オリジナル・ジャケに記されている言葉でもある。テーマ・メロディー提示後、比較的静かな音響インプロへ。前曲の連想からか「He Loved Him Madly」を思い出してしまう。で、このまま20分近く行くのかな。と思っていたら、約10分後、再びテーマ・メロディーが。なるほど「Will Be Back」とはそういう意味か。で、再び音響インプロになったところで、最初に聴いたときは思わずうたた寝してしまった。申し訳ない。2回目はちゃんと最後まで聴いた。だが、テーマ・メロディーは帰ってこなかった。やっぱりね。
というわけで、傑作とか問題作とかいうことはないが、よくできた作品だと思った。次回作は「Other Aspects」を希望(笑)