あうとわ~ど・ばうんど

Perch Hen Brock & Rain Live @ The Jazz Happening Tampere

イングリッド・ラブロックに直接注文していた新譜が届く。

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Perch Hen Brock & Rain Live @ The Jazz Happening Tampere
Relative Pitch Records, 2016)
Ab Baars(ts, cl, shakuhachi) Ig Henneman(viola) Ingrid Laubrock(ts, ss) Tom Rainey(ds)


バース&ヘンネマンのオランダ男女とラブロック&レイニーのNY男女(ラブロックは元々ドイツ出身ではあるが)によって結成されたカルテットによる2014年、フィンランドでのライブ。グループ名は各メンバーの名前をもじったものと思われるが、「Perch」はバースの綽名かミドルネームか或いは関係ないのか?

また、全5曲もそれぞれ「Perch」「Hen」「Brock」「Rain」「Tampere」と命名されていて、ライブでは単に「インプロヴィゼーション」として演奏されたと思われるが、曲名などおそらくどうでもいいのだろう。

ラブロックのテナーの響きは相変わらず豊饒で、ソプラノではバースのクラリネットや尺八に呼応するように巧者ぶりも見せつける。ラブロックとバースがともにテナーで対峙するトラックもあり、これがなかなか聴き物で、両者の個性の対比が面白い。ヘンネマンとレイニーの存在感もすばらしい。


参考動画
www.youtube.com

Mats Gustafsson & friends - MG 50 Peace & Fire

MG 50-PEACE & FIRE

MG 50-PEACE & FIRE

Mats Gustafsson


マッツ・グスタフソン(1964年10月29日生まれ)が、50歳を迎える直前の2014年10月26~28日に開いた記念ライブを収めた4枚組。集まったミュージシャンたちが入れ代わり立ち代わりマッツと共演して祝福、という流れかと思いきや、マッツが参加していないトラックも多い(なんと4枚目には一曲も参加していない)。低音サックスでの猛ブロウに耳目が集まりがちだが、実は幅広いマッツの音楽性が隅々まで行き渡っているようで、たとえ不在でもどの曲にもマッツの息吹を感じ取れる気がする。

とはいえ、結局はいつものように Swedish Azz(1枚目)や Fire! Plus(2枚目)や The Thing & Ken Vandermark(3枚目)に心奪われているだけだったりするのですが。


試聴

Brotzmann / Parker / Drake - Song Sentimentale

Song Sentimentale

Song Sentimentale

Peter Brötzmann(ts, cl, tarogato) William Parker(b, guembri, shakuhachi, shehnai) Hamid Drake(ds, frame-drum, vo)


ウィリアム・パーカーのベースとハミッド・ドレイクのドラムに、サックス奏者という組み合わせのトリオ作品は、数多存在するが、どれも私の期待とは微妙にずれるものが多い印象で、それはパーカーとドレイクにガンガン煽られて猛咆哮するサックス、というのを期待しているわけだが、それは間違っているらしい。むしろ、ほどよいリラックスの中で気持ちよく伸びやかに歌うさまのサックスを愛でるべきなのである。ということに、最近ようやく気付いたのだった。このアルバムも同断(まあそういうタイトルでもあるし)。


試聴

pd - usagi to neko

usagi to neko(うさぎとねこ)

usagi to neko(うさぎとねこ)

大森菜々(p) 酒井美絵子(ds)


ディスクユニオン新譜情報をチェックしていた際、東海地方を主な活躍の場としているらしい全く知らない人たちながら、商品インフォメーションに

小山彰太(ドラム)×石田幹雄(ピアノ)音三昧デュオのライブレコーディングにおいて前座を務めるなど近年、注目を集めている。

Pet Bottle Ningen(from New York),Goh Kurosawa(guitar),Day & Taxi(from Switzerland)など海外で活動するミュージシャンとの競演にも意欲的に取り組んでいる

とあり、幹雄と Pet Bottle Ningen の名を引き合いに出されれば、これは聴くしかない、と思って購入(もちろん、試聴して良さそうだったというのもある)。


「pd」は単純に piano と drums の頭文字で、かつ、正式表記は実は2分音符2つとのことで、同形記号が対称に並んでいるのは巧いネーミングである。タイトルの「うさぎとねこ」は収録曲に無いので何のことかしらんと思ったが、ホームページを見たら、ピアノが「うさぎ」担当で、ドラムが「ねこ」担当との由。どこらへんがうさぎで、どのあたりがねこなのか、ジャケの写真や演奏からは私にはさっぱり分からないが、まあとにかくそういうことなのだろう。演奏はと言えば、きわめて真っ当なフリージャズで、山下洋輔さんとドラムのデュオやら、板橋文夫さんと森山威男さんのデュオやら、前掲の石田幹雄と小山彰太さんのデュオやら、の影響が垣間見えるようであり、日本の激情迸る系ジャズの延長上にあることは間違いあるまい。5曲34分の小品ながら、イントロデューシングとしては上々。ライブを観てみたい。


ところで、幹雄と小山さんのデュオアルバムというのはいつ出る(あるいは、出た)のか?


参考動画(YouTube Channel)
https://www.youtube.com/user/channie14739/

Tim Daisy & Marc Riordan - Joyride

先日 Twitter でも呟いたが、Trio Red Space(4月13日参照)のCD版が発売されたので、DL版を聴いているというのに注文し、ついでに新作のこれも購入した(ボーナスDL付き)。


Tim Daisy & Marc Riordan - Joyride
Relay Records, 2016)
Marc Riordan(p) Tim Daisy(per)


マーク・リオーダン(と読むのか?)はシカゴのピアニスト兼ドラマー。以前に彼がピアノを弾いているリーダー作を聴いて非常に気に入ったことがあり(13年1月21日参照)、そのアルバムにも参加していたティム・デイジーとのデュオに、興味を覚えた次第。前掲リーダー作ではセロニアス・モンク~アンドリュー・ヒル的なピアノに聴き惚れたが、本作はフリー。セシル・テイラー的というと褒めすぎだけれど、明晰で理知的なフレージングでグイグイ引き込む。


ところで、レーベルはティム・デイジーの個人レーベルのようだが、購入すると、とても丁寧なお礼メールが送られてくる。なんて律儀な人だろう。

Marc Ducret & Journal Intime - Paysage, avec bruits

マルク・デュクレと、フランスの(?)管楽器トリオ Journal Intime の共演盤を聴く。

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Marc Ducret & Journal Intime - Paysage, avec bruits
Abalone Productions, 2016)
Marc Ducret(elg, acg, composition) Sylvain Bardiau(tp) Matthias Mahler(tb) Frédéric Gastard(bass sax)


デュクレは、管楽器と丁丁発止やり合う演奏がやっぱりかっこいい。しかも曲はすべてデュクレのオリジナル。デュクレの異能の作曲センスに、特異な編成があいまって、とても快感である。


参考・試聴
www.youtube.com

Louis Minus XVI - Kindergarten

以前に聴いて好印象だったサックスデュオ「Bi-Ki?」(4月20日参照)の片割れ、Jean Baptiste Rubin が参加するグループ「Louis Minus XVI」のアルバムを聴く。


Louis Minus XVI - Kindergarten
BeCoq Records, 2014)
Adrien Douliez(as) Jean Baptiste Rubin(ts) Maxime Petit(b) Frédéric L'homme(ds)


稠密で繊細だった Bi-Ki? と異なって、意外や、重爆撃機を思わせるアルトとテナーが躍動する。日本で言えば、片山広明さんと林栄一さん(あるいは立花秀輝さん)とのコラボレーション(よりは小粒であるが)を思い出させたり、曲によってはコンポステラを想起させたりもする。フランスの中央線ジャズ


参考・グループのホームページ