あうとわ~ど・ばうんど

Larry Ochs - The Fictive Five

Tzadik からラリー・オクスの新譜が出ている。

The Fictive Five

The Fictive Five

Larry Ochs(ts, ss) Nate Wooley(tp) Ken Filiano(b, effects) Pascal Niggenkemper(b, prepared bass) Harris Eisenstadt(ds)


先日の Daniel Zamir「Redemption Songs」(14日参照)や Louie Belogenis「Blue Buddha」(8月15日参照)などと同じ、新しい Spectrum シリーズの一枚(ちなみにこのシリーズは、製品番号として「TZ4000番台」が与えられている。ジャズ寄りの作品も多く、もしかしてブルーノート4000番台に擬しているのか?)。


以前に書いたかもしれないが、ラリー・オクスのサックスの音が好きだ。ひしゃげた管に息を過入力して無理やり鳴らしたような、あの独特のコク深い音には何をされてもころっと参ってしまう。作品ではネイト・ウーリーのトランペットと共に、フリージャズのフロントラインを担う。曲によってはケン・フィリアーノとパスカル・ニゲンケンペルのダブルベースが、どこか足場の不安定さを演出しているようでもあり、オクスとウーリーの2人も像を結ばせないかのように展開していたインプロヴィゼーションがやがて、目指すべき図柄も知らずに作っていたジグソーパズルがある瞬間からパタパタと完成に向かうかのように、あるいは先手後手どちらが有利か皆目不明の難解な局面から羽生善治の手の震えと共に突然それまで働いていないと思われていた駒が全て意味を持ちまるで最初から作られていたような詰み手順が現れるかのように、演奏終盤にテーマに結実していくあたりが心地良い。