あうとわ~ど・ばうんど

Akosh S. - Omeko (Live)

以前から気になっていた、Akosh S.のライブ盤を聴いてみる。

Omeko: Live

Omeko: Live

Akosh Szelevényi(ts, ss, bombarde, fl) Joe Doherty(vln, as, fl) Bernard Malandain(b) Philippe Foch(per)


それにしても、何というタイトルであろうか。日本人、とりわけ関西方面の人にとっては破壊力抜群であろう。まるで出オチのようだが、むろん話はこれで終わりはしない。ちなみに、「Omeko」とは何語か分からないが「Love」という意味なんだそうで(うーむ、いろいろ意味深だ)、いわばコルトレーンで言えば「至上の愛」みたいなものであろうか。


Akosh Szelevényiはハンガリー系のリード奏者で、80年代に密航者として西側に出国した経歴を持ち、ハンガリー伝統音楽とフリージャズの混淆のような独自のジャズを追求している(らしい)。90年代に結成したAkosh S. Unit名義による作品群を始め、打楽器奏者Gildas Etevenardや女性コントラバス奏者Joëlle Léandreとのデュオなど多くのアルバムが出ている。


彼の吹くサックス(時々民族楽器)はフリージャズ的アプローチはもちろんモーダルジャズも消化され、ときおり、羊飼いの笛とでもいうかチャルメラ風とでもいうか民族音楽的要素もふんだんに混入される。


どうやらハンガリー音楽には東方的要素が強いらしく、演奏される曲群は、時にインド音楽風味であったり日本の祭囃子を思わせるリズムが出現するなど、西洋と東洋が混合したようなごった煮サウンドで心地良い。

そんな中で、アコシュがハードにブロウするところはアイラーやファラオ、あるいはガトー、もしくは後期マイルス『Human Nature』後半の最晩年にはスパニッシュ要素を導入してハードブローイングするケニー・ギャレットを想起させ、直情的爆発と哀愁のブレンド感は渋さ知らズ周辺や中央線ジャズとの共通点までを感じさせる。


いささかほめ過ぎてしまった気がしないでもないが、もっと人口に膾炙していいミュージシャンであるのはまちがいない。



参考動画


試聴