あうとわ~ど・ばうんど

Concert for the Comet Kohoutek

Concert for the Comet Kohoutek
Concert for the Comet Kohoutek/Sun Ra」(esp)。73年、全9曲61分。
昨年始まった、本家本元によるESPリイシュー。最近ややペースダウン気味だが、もっとガンガン行ってほしい。

さて。
  ぼくは、この「太陽太陽」という名前を持つ演奏家が結構好きだが、いつも聴くのは、フリー寄りになる60−70年代モノばかりで、50年代や80年代モノとなると、その面白さが実は皆目分からない。『サンラはいつの時代もスゴイ』とか『常に時代の一歩先を行っていた』というようなドグマがあるが、基本的には『実際にはサン・ラーは、歴史的にも音楽構造的にも、特筆すべき斬新な事は特に行っていない。そして、だからこそサン・ラーは素晴らしいのだ』(菊地成孔「歌舞伎町のミッドナイト・フットポール」小学館、78頁)という意見に賛成である。

で、70年代モノであるこの作品。①「M. C. Intro」が、意外に長い。英語が分からないので、面白いのかどうか分からない(笑)。③「Discipline 27(Part 1)」⑥「Kohoutek」⑦「Discipline 27(Part 2)」で聴かれる、サンラのムーグ(っていうのかな?クレジットがないんでよく分からない)ソロ。自分の作り出す響きに陶酔してイッちゃってるみたいで、まるでおもちゃを与えられた子供が想像を巡らし一人何役もこなしあれこれ喋りながら一心不乱に遊んでいるような感じがして、なんだか微笑ましい。⑤「Love in Outer Space」は、同時期のマイルスバンドを(多少)連想させる。最終曲は「Space Is the Place」だ。
この時期のフリージャズとしては目新しくもないし、特別なアウラがあるわけでもない。でも、よくできたSFというか、ファンタジーという趣きがあって、楽しい。