あうとわ~ど・ばうんど

Yuko Fujiyama / Night Wave

札幌出身NY在住ピアニスト、藤山裕子さんの新作を聴く。

Night Wave

Night Wave

Yuko Fujiyama (p) Jennifer Choi (violin) Graham Haynes (cor, flh) Susie Ibarra (ds, perc)


id:yorosz さんのツイートを読んで入手した。そういえば昨年、藤山さんのライブを初めて観た時に「ヴァイオリンや、スージーのドラムらとレコーディングをしたが、まだどこから出るかは決まっていない」と語っていたことを思い出し、なるほどこれがその作品か、と気づいた次第である。藤山さんはたしかジャズピアノのバックボーンを持たぬまま、セシル・テイラーを聴いてフリージャズに向かった人で、彼女のピアノについて昨年のブログに「抽象的な感じが一つもない、常にある種の情感を湛えた不思議なフリージャズピアノ」という感想を記したけれど、本作における彼女のプレイに対してもやはり同様の印象を持った。

アルバムは全15曲、ピアノソロやカルテット、デュオ、トリオなど様々な編成で、各曲には「様々の色の糸が織りなす物語」「まるで4人が一斉に口論しているよう」「悪徳に対する憤り」「雄弁な沈黙が語る言葉」「丘の上に大きな古い木がありました。100年以上人々を見守ってきました。その木が語った話」といった解題が付され、たしかにその通りの『物語』や『情景』が表現されていく。ちなみにカルテットの激しい演奏では、グラハムとスージーは、どうしてもジャズイディオムが出てしまうあたりが何ともほほえましい。