あうとわ~ど・ばうんど

Tim Berne / Fulton Street Maul

恥ずかしくも「Spy Vs Spy」以前の Tim Berne には知識(というか、なぜか関心)がなく、このたび機会があり入手して驚嘆。

Fulton Street Maul

Fulton Street Maul

Tim Berne(as) Hank Roberts(cello, vo) Bill Frisell(elg) Alex Cline(per, vo)
87年作品。80〜90年代の Columbia は今から想像つかないほど、ラインアップが多士済済だったんだなとあらためて感心してしまうのだが、それはともかく。
冒頭曲から跳ねるようなリズムに斬り込むティムのアルトがかっこいい。同時代のオーネット・コールマン&プライムタイムとか、おそらく海を越えた東洋のことなど知る由もなかっただろうが MAZURU あたりにも通じるサウンド(「ウェイズ・オブ・タイム」で共演した山下洋輔氏がティムのことを「アメリカの林栄一」と評した、と聞いたことがあるがそれを思い出した)。
3・4曲目でも経時感覚を狂わせるようなティムフレージングの初期形態(?)が心地よく、2・5曲目はゆったりした流れの中から幽玄が際立つのが滋味深い。全編にわたってハンク・ロバーツのチェロも効果大。
四半世紀前(裏ジャケのティムが若い!)の懐かしさも感じさせるサウンドだが、そう言い切るには零れ落ちるものも多く、今の耳で聴く面白さがあるはずだ。
参考(1曲目)