あうとわ~ど・ばうんど

Albums of The Year vol.2

本日は【国内部門】ベスト5

① Show the Frog/梅津和時
全篇バスクラによるソロ。梅津和時のこんなアルバムを待っていた。「I Want to Talk About You」から始まり、動物の名に掛けた自作曲、アイリッシュアイヌのトラッド、名曲「1970」(ちなみにこの曲、自分も大学時代ソロでやったことあります)、「In Walked Bud」などなど選曲の妙も素晴らしい。梅津はサービス精神が旺盛すぎて、たまに演奏を壊してしまうこともあるが、このアルバムではそれがいい方向に出ていて「やりたいことをやり抜いた」感が強くにじみ出ている。
② Wild Life/鬼怒無月
Coilを中心にした演奏ながら、鬼怒無月のキャリアの集大成的アルバム。彼の豊かな音楽性が、見事に一枚のアルバムに封じ込められている。こんなにギターの上手い人が、大学卒業後は一度は音楽の道をあきらめ、サラリーマンをしていたというのが不思議でならない。なお、5枚には選ばなかったが、鬼怒と吉田達也ナスノミツル是巨人も素晴らしかった。
③ Improvisations/内橋和久・吉田達也
ギターとドラムのデュオ、2枚組全25曲150分という超大作。しかし、これが全篇即興とはにわかに信じがたい。事前に設計図があったとしか思えない、恐ろしいまでの精緻なコラボレーション。続篇ともいうべきポーランドでのライヴ「ヘラクレスの氷棍棒」も良かった。
④ Live in Japan 2004/藤井郷子 4
11月10日参照。自分はお祭り騒ぎみたいなフリージャズが好きだと思われていると思うが、こういう静謐で知的緊迫感があって、しかし沸々と熱いものが込み上げてくるようなものも好きだ。
⑤ 南米のエリザベス・テイラー菊地成孔
過去のさまざまな参加アルバムを考えると、菊地成孔は期待度が高いミュージシャンの一人なのだが、リーダー作は(期待度の割に)今ひとつパッとしない作品が多い。と言いながらも、このアルバムはなぜか今年最もよく聴いたものの一つ。「京マチ子の夜」と「ルペ・ヴェレスの葬儀」がお気に入り。

ベスト5から漏れたところでは、大友良英のギター・ソロ、早坂紗知、松風鉱一、渋さ知らズなどなどが、いずれも甲乙つけがたかった。