あうとわ~ど・ばうんど

エリック・ドルフィー生誕90周年

半月ほど放置してしまっていたが、この日は(ネタが何もなくても)更新して、居住まいを正さねばなるまい。

YoTube で思いつくままにドルフィーの音源を聴いていたが、こうして並べてみると、やはりアルトが多い。音を吹きのばす時の『塩からい』ような感覚が好きなのだ(これ、多分に個人的なとらえ方なので、共感は得られにくいだろうなあ)。

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Toyozumi - Countryman / Jya-Ne

フリー系ドラム・レジェンドの一人、豊住芳三郎が2017年8月、フィリピンで現地のフリー系ミュージシャンと共演したライブの2枚を聴く。

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Toyozumi - Countryman / Jya-Ne
(Manila Free Jazz, 2018)
Sabu Toyozumi (ds, erhu), Rick Countryman (as), Simon Tan (b, elb), Stella Ignacio (vo) Isla Antinero (tb)


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The Center of Cotradiction
Chap Chap Records, 2018)
Sabu Toyozumi (ds), Rick Countryman (as), Simon Tan (b)


2017年8月11、12日のライブから、12日のアコースティックコードレスサックス編成をセレクトしたのが後者、残るセッションから抜粋したのが前者、ということになるらしい。フィリピン側の Coutryman, Tan は『Cosmik Funkshun』というグループのメンバーだそうで、ドラマーの Christian Bucher を加えたトリオで、豊住も作品をリリースしている Improvising Beings にアルバムがあり(こちら参照)、いわばドラムを差し替えたスペシャルセッションが後者、という見方も可能だ。

フィリピン側メンバーの中では Rick Countryman が特筆すべき存在で、Colin Webster ら3人が参加したソロインプロヴィゼーションオムニバス集「Saxophone Aanatomy」が好事家の話題となったのが記憶に新しい。必ずしもフリー専業というわけでもないようだが、ソニー・シモンズを思わせるような端整な音色と、ひた向きで真っすぐなプレイスタイルには好感を持つ。

2枚のうち、トリオのみによる後者はベースにちょっと難があって、この人はフリージャズもやる人、という感じで(実際にジャズだけでなく、ロックもブルースも何でもやる人らしい)、フリーインプロヴィゼーションとしてはイマジネーションの広がりに欠けるきらいがある。一方で前者は、豊住とカントリーマンのデュオに始まり、トリオ、トリオ+ヴォーカル+トロンボーンのセッション、再びトリオ、とバラエティーに富んでおり、好みとしては前者を推す。


参考動画
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Cory Smythe & Peter Evans / Weatherbird

ついでにピーター・エヴァンスの別のデュオ新作について。


Cory Smythe & Peter Evans / Weatherbird
More is More Records, 2018)
Cory Smythe (p, compositions), Peter Evans (tp, piccolo tp, compositions)


ルイ・アームストロングアール・ハインズによるデュエット「Weather Bird」が1928年に録音されてから90周年となるのを記念して、というわけではないらしい(録音は2015年)ようだが、2人の事績に敬意を表する演奏、には違いない。以前から、エヴァンスのトランペットには、ジャズ・トランペットの豊饒なる歴史が凝縮されていると主張してきているが、タイトル曲におけるような、スウィングスタイルに擬態しながらジャズの粋を尽くしたようなプレイにはやはり唸るしかない(ピアノのスマイスがどこまで意識的かは分からないけれど)。タイトル曲に加えて、エヴァンスとスマイスが2曲ずつ、「Weatherbird」の変奏というべきオリジナルを持ち寄っているが、100年の間にジャズはずいぶん遠くまで来たようだ。


参考動画

Peter Evans and Weasel Walter / Poisonous

さっそく聴いてみた。


Peter Evans and Weasel Walter / Poisonous
ugEXPLODE Records, 2018)
Peter Evans (tp), Weasel Walter (ds)


うーむ、これはすごい。冒頭曲からして頭がおかしい。ピーターとウィーゼルのデュオが左右にいて、右側のデュオの演奏が少し遅れて左側でも展開される。つまりディレーでデュオ音源を重ねているのだろう、ととらえていると、左側のデュオが時々ちがうことをするから頭が混乱してしまう。2曲目以降、トランペット?と疑問符を付けたくなるような音とドラムの応酬が続き、5曲目には人力超速超絶デュオも聴かれる。アルバムタイトルが「有毒」であり、7曲はすべて毒キノコから命名されているものの、音楽としては中毒性はあっても生体毒性はありはしない、むしろ超絶美味なのだからすばらしい。


トレーラー付き試聴

『Matt Piet Trio / LIVE IN CHICAGO』レビュー

JazzTokyo 誌 242号に、シカゴの若手ピアニストによる『Matt Piet Trio / LIVE IN CHICAGO』のレビューが掲載されています。

jazztokyo.org

『North Of North (S​/​T)』レビュー

オーストラリアの現代音楽演奏家によるグループの新作『North Of North (S​/​T)』について、JazzTokyo 誌242号にレビューが掲載されています。

jazztokyo.org

Marty Ehrlich / Trio Exaltation

clean feed からもう一枚。

Trio Exaltation

Trio Exaltation

Marty Ehrlich (as, cl, bcl, wooden fl), John Hébert (b), Nasheet Waits (ds)


メンバーを見て、おっ、と思う人もいるだろう。3人はいずれも晩年のアンドリュー・ヒル・グループを支えた人たちである。Marty Ehrlich は「Dusk」「Beautiful Day」に、Nasheet Waits はその2枚に加えて「Day the World Stood Still」に、John Hébert は遺作「Time Lines」に参加していた。(なお3人が同時参加した公式アルバムはないが、共演記録は残っている。Andrew Hill Discography参照)

その3人が、ヒルと共演していたころの主要レパートリーである「Dusk」を、アルバム冒頭に持ってきたのはなかなか胸が熱くなる話だが、演奏そのものは「普段着」というか、素材の域を出ていないと感じられるのが残念だ。

ところで Marty Ehrlich という人は、わたしの中では「ちょっと残念な人」にカテゴライズされている。とびきり上質の音を持っていながら、突き抜けるようなカタルシスをもたらしてはくれない人、であるからだ。本作品でも、アルトやバスクラリネットなどで、その音色を生かした味のあるプレイはするけれど、やっぱり今一つ何か足りないのである・・


試聴

参考動画
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