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Chris Pitsiokos Quartet - One Eye with a Microscope Attached

Chris Pitsiokos 新譜

遅くなったが、Chris Pitsiokos の新しいデジタルアルバムもリリースされている。

Chris Pitsiokos Quartet - One Eye with a Microscope Attached
Chris Pitsiokos(as, compositions) Andrew Smiley(elg) Henry Fraser(elb) Jason Nazary(ds)


3月にリリースされてあっという間に消え去った「Before the Heat Death」(3月9日参照)のメンバーによる、仕切り直しのアルバム、だと思われる(「Before ~」でも演奏されていた曲が1曲だけ、ヴァージョン違いだが再収録されている)。全6曲30分足らずだが、今回も楽しくカッコイイ。ピッツィオコスには、その超絶テクニックで実現したい音楽がたくさんありそうなので、今後も精力的な活動を期待したい。なお3月の記事でも書いたが、どことなく梅津和時さんがマーク・リボーらと共演した一群の作品群を思いださせる。


Chris Pitsiokos の過去記事一覧(旧ブログ)

Mary Halvorson & Noël Akchoté

Mary Halvorson Noël Akchoté 新譜 DL

Mary Halvorson & Noël Akchoté
Mary Halvorson(elg) Noël Akchoté(elg)


待望の新作がついに出た。メアリー・ハルヴァーソンとノエル・アクショテのギターデュオである。アルバム制作のきっかけは、メアリーがソロギター作品「Meltframe -Digi-」(昨年9月4日参照)で、アクショテのオリジナル曲「Cheshire Hotel」を録音、それを知った彼がメアリーを共演相手として招待し、それを経てすぐにデュオアルバムを吹き込んだそうである。(なお当初は Ayler Records から出ることになっていたが、アクショテによるデジタルアルバムのみのリリースになったもよう)

全20曲で、前半10曲がアクショテのオリジナル曲、後半はスタンダード1曲(「All The Things You Are」)とジャズマンオリジナル5曲(オーネット・コールマン「Him & Her」、ミシャ・メンゲルベルク「Weer is Een Dag Voorbij」、ジャック・トロ「Entre Java Et Bali」、ビル・フリゼール「Strange Meeting」、パット・メセニー「The Bat」)のほか、フリーインプロが4曲という構成。

リリカルでメロディックなラインを持つ曲が多く、このあたりのコンセプトは「Meltframe」とも共通しているが、本作ではそれよりも比較的ストレートな、オーソドックスなジャズになっている印象で、であるからこそ両者の特異な感性と絶妙なコラボレーションがくっきり浮かび上がる(明示されていないが、右がメアリー、左がアクショテだろう)。これはとっても滋味深い。しばらく愛聴しそう。


01. Can I V,
02. Barnum
03. May 20th
04. Icare Easter
05. Flowers (for Mary)
06. Pline
07. Gerfrais
08. Aber-Lied
09. Dunja
10. Vuiper Trout
11. All the Things You Are
12. Him & Her
13. Weer Is Een Dag Voorbij
14. Entre Java et Bali
15. Strange Meeting
16. Hune Lune
17. The Bat
18. L'Herbe Tendre
19. Foufou
20. Oh Lord, Put That Gun Off Me!



なお、Amazon でも購入可能だが、bandcamp の方が安く、ライナー等の付録も豪華である。
https://www.amazon.co.jp/Mary-Halvorson-No%C3%ABl-Akchot%C3%A9/dp/B01JZWJC70/



Mary Halvorson の過去記事一覧(旧ブログ)

Steve Lehman & Sélébéyone

新譜 Steve Lehman

週末に届いてから聴いている。

Selebeyone

Selebeyone

Gaston Bandimic(vo:Wolof) HPrizm(vo:English) Steve Lehman(as) Maciek Lasserre(ss) Carlos Homs(p, key) Drew Gress(acb) Damion Reid(ds)


Steve Lehman の新作はヒップホップ(?)とのコラボレーション。事前には彼の新機軸に対する期待と、ヒップホップへの感受性に欠けている不安が半々だったが、現時点での感想は正直に言えば、面白さが半分と「やっぱりよく分からない」が半分である。全9曲は Steve Lehman の作曲・プロデュースが5曲(1, 2, 5, 8, 9曲目)、Maciek Lasserre の作曲・プロデュースが残る4曲で、「ダブルバーガー」状態に配置されていて、面白さを感じたのは Lehman が作曲を手掛けた曲群にもやはり Octet と同じような「芯」を感じるところである。


試聴


Steve Lehman の過去記事一覧(旧ブログ)

PBB's Bread & Fox - Big Hell On Air

新譜 Piero Bittolo Bon DL

最近注目しているイタリアのマルチリード奏者、Piero Bittolo Bon の新グループ「Bread & Fox」が9月に新作をリリース予定だそうである。発売を前に、彼が無料のダウンロードコードを教えてくれた。(画像は彼のFBから無断転載。なお正式のジャケではない可能性がある)

f:id:joefree:20160813202548j:plain
PBB's Bread & Fox - Big Hell On Air
Auand Records & El Gallo Rojo Records, 2016)
Piero Bittolo Bon(as, fl, cl) Filippo Vignato(tb) Alfonso Santimone(p) Glauco Benedetti(tuba, euphonium) Andrea Grillini(ds)


PBB のアルト&フルート&クラリネットに、トロンボーン、チューバ&ユーフォニウム、ピアノ、ドラムという変則3管クインテット編成。PBB を除く2人による低音アンサンブルにヘンリー・スレッギルの影響を見て取るのは容易である(事実、最終9曲目にスレッギルの「Paper Toilet」(Too Much Sugar for a Dime所収)が演奏される)が、それを発想の始原としつつも PBB 自らの音楽が追究されているのだと思う。それにつけても彼のソリッドで、ブリリアントで、伸びやかに飛翔するアルトは、相変わらず私の好みど真ん中だ。本作も全力でオススメしたい。なお、CDは Auand Records から、ダウンロード版は El Gallo Rojo Records(bandcamp)から出るそうで、日本でも入手しやすいだろう。これを機に、彼の知名度がもっと上がり、日本ツアーにつながってくれることを願ってやまない。


試聴(PBB からの要望により差し替え。8/18)
soundcloud.com



参考動画
www.youtube.com

www.youtube.com

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Piero Bittolo Bon の過去記事一覧(旧ブログ)

A.L.U."Avant-garde Labor Union" / COSMIC TUBE AND INFINITE SKIN

新譜

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A.L.U."Avant-garde Labor Union" / COSMIC TUBE AND INFINITE SKIN
(A.L.U. 2016)
アカノシバヒト(as, ts, ss) 真野一彦(ts, ss) 宮崎康典(ds) 三木勇(ds, per)


これは面白かった。関西・東海を拠点とするミュージシャンの集まりである「アヴァンギャルド労働組合(アヴァ労)=A.L.U."Avant-garde Labor Union"」名義によるセッション集とのこと。(ちなみに、メンバーのアカノシバヒト氏とはツイッターで以前から相互フォローしていて、彼の上げる動画を時おり観てはいたものの、あまり交渉はなくて、きちんと聴くのはこれが初めてである)

アヴァンギャルド労働組合というネーミングセンスはよく分からないが、音楽的出自を異にするという4人がデュオやトリオやカルテットで生み出していく演奏はカッコイイ。切れ味鋭いパワージャズやら、2本のソプラノの音色を変化させるデュオやら、風変わりな民族音楽的演奏やら、コルトレーン~ラシッド・アリ風デュオやら、千変万化のドラムデュオやら、日本民謡をモチーフにした集団即興やら、各セッションそれぞれバラエティに富み、最後まで聴き飽きさせない。


試聴(日本民謡をモチーフにした即興の一部。「通りゃんせ」に「Time After Time」が重なって聴こえるのは私の耳が悪いのか?)
www.youtube.com

the space baa - spaced out

新譜 不破大輔 辰巳光英

このアルバムも「SPONTANEOUS COMPOSITIONS」(7月30日参照)と同様に、購入してから2か月ぐらい経つ。

spaced out

spaced out

the space baa : 辰巳光英(tp, theremin, iphone) 不破大輔(elb) JIMANICA(ds)


一言でいえば、グルーヴ! スペイシーな演奏の数々がとても心地よく、これが全編即興で、たった3人によって生み出されているとはにわかには信じがたいほど。グループ名に、アルバムタイトルに、曲ネーミングに、サウンドに、散りばめられたガジェットが、SFを思わせるのも好印象。暑い日が続くようになってから、聴くことがなぜか多くなった一枚でもある。


試聴
www.youtube.com

チョビ渋

新譜

チョビ渋

チョビ渋

パーソネルはこちら参照


札幌で2010~13年、地元出身の不破大輔さんプロデュースで行われた小中高生(活動終了時は中高生)対象の渋さ知らズワークショップが、総決算として(?)残したアルバムとのこと。当時そのような活動が行われていたのはもちろん知っていたが、YouTube(検索すれば多数あります)で演奏の様子を見たことがあるのみで生を観たことはなく、3年遅れて音源を聴いて驚いているしだい。(なお、このCDが吹き込まれた直後に札幌で行われた渋さチビズのライブでは、本盤に参加していたと思われる子たちが、立花秀輝氏の眼鏡がずり落ちそうになるたびに悲鳴のような歓声を上げていたのを思いだす。13年3月20日参照)

ここで披露されている8曲は全てメンバーのオリジナルで、各楽曲の構造もネーミングセンスも本家渋さ知らズのマナーが踏襲されている。その演奏は若さも、青さも、渋さも、巧さも、熱さも、粗さも、歪さも、元気さも、楽しさも、頼もしさも、かわいらしさも、生きの良さも、思い切りの良さも・・いろいろと兼ね備えていて、なんだか微笑ましくうれしくなってしまうのだった。メンバーの中には現在ミュージシャンへの道のりの途上という人もいるようだが、彼ら彼女ら全員の今後の音楽人生に幸多からんことを願う。