あうとわ~ど・ばうんど

SAINKHOKOSMOS - 6.8.17

順番が逆になってしまったが、2017年ベスト(DL編)に選びつつも、ブログには未掲載だったアルバムについて触れておく。


SAINKHOKOSMOS - 6.8.17
OTORoku, 2017)
Samm Bennett (ds, vo) Sainkho Namtchylak (vo) Ned Rothenberg (cl, as, shakuhachi) Peter Scherr (electric upright bass) Kazuhisa Uchihashi (g, daxophone)


正直に告白すると、サインホの歌を聴くのはものすごく久しぶり(20数年ぶり?)だったのだが、あれ、随分とポップというか、チャーミングな声になったなあ、というのが一聴しての感想。それはグループ表現トータルの印象によるところもたぶん大きくて、2セット計100分余に及ぶ演奏はおそらく基本的にはインプロヴィゼーションであろうとは思うものの、ところどころ、ノリの良い楽曲になっていることが多い。サインホの天界の声とも冥界の声ともつかぬヴォイスで始まった演奏は、やがてネッドがマウスピースでサインホと戯れたりしているうちに、「曲」に昇華していく。しかもそのメロディーやリズムがとても琴線に触れるというか、ある部分はどう聴いても「エアジン・ラプソデー」にしか聴こえず、また別の部分では日本人ミュージシャンのある曲を思い出させ、ネッドが情感たっぷりにアルトサックスによる“ジャズ”を演奏するといったことも起こっている。