あうとわ~ど・ばうんど

Ingrid Laubrock - Ubatuba

イングリッド・ラブロック本人に直接注文していた新作が届く。

Ubatuba

Ubatuba

Ingrid Laubrock(ts, as) Tim Berne(as) Ben Gerstein(tb) Dan Peck(tuba) Tom Rainey(ds)


Sightsong さんの情報によれば、「Ubatuba」はグループの名前で、由来はブラジルの街の名前とのこと(サンパウロ州にあるビーチで有名な街らしい。日本で言えば伊豆とか湘南みたいなもんだろうか。ちなみに音楽を聴いても、そういう風景は一切浮かばない。笑)。4管+打楽器といういびつな編成で、楽曲は全てラブロックの自作曲。Anti-House や Octet でもおなじみの彼女の作曲センスは、いつもこういった特異で緻密なコンセプトによって妖しい魅力を放つらしい。

まずは空間を香気で充満させるような弱音アンサンブルでスタート、やがて各人のソロがフィーチャーされたり、誰が突出するでもなく稠密な綴織のような集団インプロが繰り広げられたり、という展開。私の馬鹿耳はほとんどティムとイングリッドばかり追い続けていたが、ティムのソロの瞬間、肩ムチ一発で馬群を一気に突き抜けてくるようなスピード感がやはりたまらない。一頭、あ、いや、一人だけエンジンの性能が違う感じだ。一方、イングリッドは周囲と調和しつつ、将棋で言えば受けていた駒がいつのまにか攻めに利いていたような見事な指し回し、ではなく、吹きっぷりを見せる。(比喩がいちいち滑ってる気がする)

ところで、イングリッドがティムと並んでアルトを吹く曲も存在していて、ティムよりウオームで艶やかな音色でメカニカルなフレーズも上手く、むろんテナーでもそうだったには違いないが、アルトでそうした側面が際立ったのも印象的だった。


参考音源(録音前日のライブ)


参考動画(アルバム冒頭はこんな感じで始まる)www.youtube.com


参考 Ingrid Laubrock の記事アーカイブ(旧ブログ)