あうとわ~ど・ばうんど

Larry Ochs - Gerald Cleaver / Songs of the Wild Cave


Larry Ochs - Gerald Cleaver / Songs of the Wild Cave
Rogue Art, 2018)
Gerald Cleaver (ds, perc), Larry Ochs (ts, sopranino saxophone)


先日のハルヴァーソン・モリスのCDのついでにレーベルに注文したのだが、いやあこれまた良いのである。毎度繰り返し書いている手垢のついた(つまりは気に入っている)表現で恐縮だが、ひしゃげている管に大量の息をむりやり吹き込んでいるとしか思えないような、分厚く野太く深みあるオクスのサックスはやはり最高なのだ。ジェラルド・クリーヴァーのドラムは、曲によっては小物パーカッションに終始するものの、ひたすら煮え立つようにこれでもかと止め処なく打音を重ね昂奮を煽り立てる。アルバム中盤には鈴も鳴らされているが、サックスとドラムのデュオで鈴が登場するのはだいたい傑作と決まっている。

録音は2016年秋。2人はフランスのル・ポルテル洞窟(ラスコーと同様、洞窟壁画で有名らしい)を訪れ、その静寂と闇に心打たれ、翌日に別の洞窟で本作がレコーディングされたという(くだんの洞窟はさすがに許可が下りなかったようだ)。なるほど、沈黙の中を音が染み入るように拡散していくような(とくにオクスのサックスは墨痕淋漓と形容したくなる)録音もすばらしい。