あうとわ~ど・ばうんど

原田依幸 川下直広 / 東京挽歌

東京挽歌

東京挽歌

原田依幸 (p), 川下直広 (ts)


真面目なのか遊びなのか「東京万化」および「東京挽歌」と名付けられた2曲で、計35分弱という収録時間は、これで十分だという自信と潔さが感じられ、たしかにそれを首肯できる内容だ。川下さんはここではテナーサックスのみで、極端に単純化して言えば大半の時間は叫びと唸りと呻きと『うた』とで占められ、むろんそれがこちらの感情をゆっさゆっさと大きく動かすのだ。それに対して原田さんはピアノから、一音一音が硬質な結晶であるような音を繰り出し、その圧倒的な重さと速さと透明感にはいつもながら惚れ惚れする。収録曲名に引きずられて思わず『透明高速』と書きそうになってしまったが、それはともかくとして、こうした演奏ができるのは、セシル・テイラー亡き今、世界広しと言えど原田さんぐらいだろう。タイトルに嘘偽りなく、これが日本のブルースだ、といえようか。