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エリック・ドルフィー没後54周年

エリック・ドルフィー。1964年6月29日、西ベルリンにて死去。


ドルフィーは生前、西ベルリンを3回訪れている。1回目は1961年8月だ。

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この『Berlin Concerts』が録音されたのは1961年8月30日。なおこの直前の8月13日、東ドイツが東西ベルリン境界線を有刺鉄線で封鎖し、石造りの壁(ベルリンの壁)建設が開始され、20日には米軍が駐留部隊を増派、24日には壁を越えようとした青年が射殺され最初の犠牲者となる、という歴史的事件が進行している真っただ中である。むろん、演奏にそれをうかがい知るものはない(たぶん)。


2回目はこの年の12月。コルトレーンクインテットの一員として訪問した。

ここでのドルフィーは、コルトレーンクインテットにおける演奏としては、最も奔放なものと言ってもよい。なおこの前月までがいわゆる「ベルリン危機」といわれる時期で、ここでのコルトレーンドルフィーの関係はそのまま米ソの対立構造のメタファーである、わけがない。


そして3回目が64年6月、ここが最後の訪問地となってしまった。そしてこの頃にはもはや壁は乗り越え難いものになってしまっていたという。