あうとわ~ど・ばうんど

Kristo Rodzevski / The Rabbit and the Fallen Sycamore

メアリー・ハルヴァーソンをはじめとするジャズミュージシャンが参加したアルバムをリリースしているヴォーカリスト、Kristo Rodzevski の新作が出ていた。メアリーは今作にも参加している。

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Kristo Rodzevski / The Rabbit and the Fallen Sycamore
(Much Prefer Records, 2018)
Kristo Rodzevski (vo), Mary Halvorson (g), Tomas Fujiwara (ds), Michael Blanco (b), Kris Davis (p), Ingrid Laubrock (sax), Brian Drye (tb)


「Batania」(15年10月23日)、「Bitter Almonds」(昨年2月4日参照)に続く第3弾(3部作の3枚目、という位置づけらしい)。前2作はボサノバなのか、フォークなのか、ジャズといえるのか、ジャズ以外の音楽には屯と造詣がない自分にはカテゴライズ不能(する必要はないのかもしれない)な音楽だったが、本作もロックなのか、フォークなのか、フュージョンなのか、やっぱり不分明ながらも、懐かしくも美しく、心地よく気持ち悪い、妙てけれんな魅力のある音楽となっている。

本作ではピアノにクリス・デイヴィス、サックスにイングリッド・ラブロックを新たに迎えるなど、相変わらずの豪華布陣をそろえ、加えてタイトル曲のミックスはビル・ラズウェル、カバーデザインはイクエ・モリが担当するというゴージャスっぷりだ。(なおプロデュースはクリスト自身とトマ・フジワラ)。

細田成嗣さんが ele-king で「Code Girl」のレビューに書いていたように、メアリーのリーダー作(や共同リーダー作)では『声とギターが主従関係を結ばずに対話する』のとは違って、ここには明白に“主従関係”があるわけだけれど、いかにも歌に奉仕しているギターサウンドを基軸としつつ、不意を衝いて精妙に調子っぱずれな彼女のギターの個性は際立っていて、それによって音楽トータルの次元は引き上げられている、というのはやっぱり凄い才能であるよなあ。


試聴
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