あうとわ~ど・ばうんど

Henry Threadgill / Double Up, Plays Double Up Plus

Pi Recordings に注文していたヘンリー・スレッギルの新譜が届く。


Henry Threadgill / Double Up, Plays Double Up Plus
Pi Recordings, 2018)
Curtis Robert Macdonald (as) Roman Filiú (as, afl) Christopher Hoffman (cello) Jose Davila (tuba) David Bryant (p) Luis Perdomo (p) David Virelles (p, harmonium) Craig Weinrib (ds, percussion)


Henry Threadgill Ensemble Double Up 名義だった前作『Old Locks & Irregular』と同様、スレッギルはコンポジションのみ。リバティー・エルマンが引き続きプロデュースを務める。メンバーはジェイソン・モランが抜けて、デヴィッド・ブライアントとルイス・ペルドモが加わり、3ピアノ体制となったことが、ライナーノートでスレッギル自身も書いているように、このグループのキモなのであろう。スレッギル役(?)を務める2人のアルトサックスには、スレッギルのような妖刀の切れ味は求めるべくもないが、気鋭のピアニスト3人(スレッギルは「6本の手または30本の指」と書く)のプレイはたしかにグループ内で突出している。

収録曲は23分近い1曲目と、同じテーマに基づく計25分近い3曲に大別され、もし冒頭曲を予備知識なしのブラインドで聴いていれば、終盤に至るまでスレッギルの曲とは気づかない自信(?)があるのだが、逆に後半はいかにもスレッギルのコンポジションだなあと如実に感じさせる曲で、もしかすると最もスレッギルっぽさの要となっているのはホセ・ダヴィラのチューバなのかもしれない、と逆説的に感じてしまう次第なのである。