あうとわ~ど・ばうんど

Matt Piet & His Disorganization / Rummage Out

Matt Piet (p) Josh Berman (cor) Nick Mazzarella (as) Tim Daisy (ds, perc)


最近なぜかニューヨークのフリージャズについて考える機会があり、AACMはもちろんのこと、じつはシカゴ出身やゆかりのミュージシャンが多く、彼らにつながる人脈も膨大なものになることに気づいた(しかしこれはフリージャズに限った話ではなくて、ニューオーリンズ出身のルイ・アームストロングが、シカゴを経てニューヨークへ進出した100年近く前からずっとそうなのである)。現在のシカゴシーンも活発なようで、本作品のリーダー、マット・ピート(ピエト?)は最近いろいろな媒体で取り上げられ、『ライジングスター』として将来を期待されるピアニストのようだ。

シカゴ出身の彼はバークリー音楽院に学んだ後、そのまま当地に留まることも、ニューヨークへ進出することもなく、シカゴに戻ったそうだ。現在、自身の名を冠した Matt Piet Trio(with Albert Wildeman, Julian Kirshner)、Four Letter Words という名のコードレスサックストリオ(with Jake Wark, Bill Harris)、Rempis / Piet / Daisy(なお、このトリオのことは昨年5月11日に一度取り上げている。ちなみにこちらも本作と同時期に新作『Throw Tomatoes』が出ている)という3つのトリオを軸に活動し、多くのリーダー作や参加作がある。

本作は昨年5月、シカゴの「Constellation」で行われたライブの第2部を収録(ちなみに第1部はティム・デイジーとのデュオで、『strike one; strike too』という別のアルバムが発売されている)。彼のメインのグループではないスペシャルセッションだと思われるが、印象としては Rempis/Piet/Daisy の管楽器を差し替えた感じ。マッツァレラもバーマンも(ついでに言えばレンピスも)どフリーではなく、ジャズの伝統に根差したプレイをする人で、ピートのピアノにもまたジャズが根付いていて、身体と情緒に訴えかけてくる。