あうとわ~ど・ばうんど

Andrew Hill / But Not Farewell

中古盤にて入手。

But Not Farewell

But Not Farewell

Andrew Hill (p) Greg Osby (as, ss) Robin Eubanks (tb) Lonnie Plaxico (b) Cecil Brooks III (ds)


アンドリュー・ヒルが最初のブルーノート復帰を果たした際、発表された2枚のアルバムのうちの2枚目。90年録音。その前年に録音された復帰作の「エターナル・スピリット」は5年前、サムシンエルス&新生ブルーノート創立25周年でリイシューされたが、こちらはラインアップから外れていた(ということは今年30周年だが、何か動きはないのだろうか?)。

前作は当時のヒルのトリオに、ボビー・ハッチャーソンとグレッグ・オズビーが参加したクインテットだったが、本作もクインテットでオズビーは引き続き参加し、残るメンバーは所謂 M-Base 派で固められている。いわば、ヒルのリーダー作でありながら、M-Base にヒルが客演したともいえる。なので、5人での演奏はあまりヒルの音楽っぽくない面もあるのだけれど、管楽器ソロが終わってトリオになると、ああやっぱりヒル節がたまらない。そのうちサックスやトロンボーンがいなくなる瞬間を心待ちしている自分に気づく。

なお全7曲で、前半4曲はクインテット、後半3曲はオズビーとのデュオ、そしてソロが2曲となる。前半と後半でアルバムのムードがガラリと変わるのだけれど、後半がいい。とくにヒルのソロピアノはやっぱりスペシャルだ。

ルフレッド・ライオンはヒルを売り出そうとして果たせなかったことが心残りだったそうで、80年代に復活したブルーノートにヒルが呼び戻されたものの、ライオンはヒルの作品リリースを見ることなくこの世を去っている。レーベルは2枚のアルバムでライオンの遺志は果たされたと考えたのかどうか、本作でヒルは再びブルーノートを離れる。そして2度目の復帰で、結果的として遺作を吹き込むことになるのだが、ヒルとブルーノートの因縁に思いをはせずにいられない。