あうとわ~ど・ばうんど

Yedo Gibson - Vasco Trilla / Antenna


Yedo Gibson - Vasco Trilla / Antenna
Multikulti Project, 2017)
Yedo Gibson (bs, ss, fl) Vasco Trilla (ds, perc)


Yedo Gibson はブラジル出身、アムステルダム在住のマルチリード奏者。今年この作品以外にも、本作品のデュオにベースが加わったトリオによる「Chain」というアルバムを、NoBusiness Records から出していた(ちなみに Ton-Klami=9月5日参照=と同時発売であった)のだが、そちらはあまり気に入らなかった(ので書いていない)。だから本作もたいして期待していなかったのが正直なところなのだけれど、試聴してみたらとても魅力的だったので、即入手と相成った。

本作の魅力は何といっても、ギブソンのソプラノサックス。循環呼吸でひたすら延々と吹く、よく私がエヴァン・パーカーやジョン・ブッチャーのソプラノによるプレイを指して「きりもみ奏法」と呼ぶ、あのたぐいのソロがこれでもかと詰め込まれている。むろんエヴァンやジョンのコピーではない。柔らかな音色で、よく聴けばさまざまに変化をつけた「きりもみ」がとても心地よい。バリトンサックスでも同種のプレイを聴くことができる。他の技術も大したもので、いやーこれは面白い。一作品のみで見切りをつけるのはやっぱり危険だなあ。


参考動画
www.youtube.com