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トリオ深海ノ窓 / 目ヲ閉ジテ 見ル映画

先日の吉田野乃子ちゃんの30歳記念ライブ(感想はたぶんそのうちどこかに載る予定です)で購入。

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トリオ深海ノ窓 / 目ヲ閉ジテ 見ル映画
(野乃屋レコーズ, 2017)
吉田野乃子(as, ss) 富樫範子(p) トタニハジメ(fretless bass)


これは大変な傑作なのである。みんな聴くように!!

以上。


というのは2年前にもやったパターンであって、野乃子ちゃんに比べると相変わらず全く進歩がない。が、またしてもこういうしかないのも事実なのである。


彼女が今年組んだトリオは意外や、タイトルの通り「映画のサウンドトラックのような」ジャズを演奏するグループである。一部からは、なんだよ、フリーじゃないのかよ。という声も聞こえてきそうであるが、お題目に騙されてはいけない。収録されている全10曲のうち8曲は、ふだんはパップピアニストという富樫さんの作曲で、残る2曲が野乃子ちゃん(空ヲ知ル)とトタニ氏の曲。たしかに表向きは叙情というか詩情あふれる美メロ曲ばかりが演奏されているけれど、以前にも申し上げたように、これは魔導音楽なのであって、野乃子ちゃんの憂愁フレーズから切情的フリーアプローチに至るあたりはやはり昂奮必至で、6月に聴いたデモCD-Rからさらにフェーズが引き上げられた感じだ。


デモCD-Rでも感じたように、サックスの歌い上げっぷりの端々にやっぱり、彼女の渡米前の師匠の影を如実に感じてしまうわけだけれど、残念ながら渡米前の彼女の生演奏を聴いたことはないし、このグループのことを彼女と話したことはないので全くの想像(妄想)で言うしかないのだが、もし彼女が渡米後アヴァンギャルドシーンにのめり込むことがなかったとしても(そんな仮定は無意味であることは重々承知している)のちのちこういう音楽を演奏することにはなったのだろうと思う。しかしノイズ・アヴァンギャルドの経験を経たことが音楽を豊かにしている、のは間違いない。


彼女が一昨年末に帰国して、もうすぐ2年。故郷の岩見沢市(生まれたのは違う場所らしいが)を拠点に、同市が所在する空知総合振興局管内10市14町を巡るソロツアーを敢行したり、こうした映画音楽のようなジャズを演奏したり、エレクトリックマサダに想を得たエレクトリックバンドをスタートさせたり、もちろんノイズサックス奏者として道内のみならず、全国を飛び回っている。渡米前、渡米後、帰国後、その全ての経験をフル動員し、彼女はその活動を多方面に花開かせようとしている。


なお「Lotus」と同様に自主製作販売なので、購入希望者は
野乃屋レコーズ メール nonoko_yoshida@yahoo.co.jp まで。



参考動画
www.youtube.com
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