あうとわ~ど・ばうんど

波多江崇行・川下直広・小山彰太 / Parhelic Circles

PARHELIC CIRCLES

PARHELIC CIRCLES

波多江崇行(g) 川下直広(ts) 小山彰太(ds)


加藤崇之さんとのデュオアルバム「Ocean voice」(7月18日参照)で不思議な印象を残した九州在住ギタリスト波多江崇行氏と、おなじみ川下直広さん・小山彰太さんによるトリオアルバム。今年5月、福岡でのライブとのこと。前記作ではエフェクトをふんだんに使っていたが、本作ではしっかりとギターのサウンドである。オーネット・コールマンの演奏で有名な「メアリー・ハートマン」もやっているが、聴きどころはやっぱりCDの大半を占めるタイトル曲(即興)で、意外や音で埋め尽くすのではなく、スカスカな空間のありようが何とも味わい深い。

そういえば今年3月になってるハウスで川下直広カルテットを観た時、ちょうど道徳の教科書検定で「パン屋」が反郷土的だと意見が付けられ出版社が「和菓子屋」に変えたというニュースが世間を騒がせていたころで、川下氏が「そのうちジャズは反郷土的だとして演奏できなくなるかもしれないが、望むところだ」みたいなことを言って演奏を始めたのは心底カッコよかったのだけれど、今度はできれば曲主体でなく即興主体の生演奏を体験したいなあ、と思ったのだった。