あうとわ~ど・ばうんど

Mat Maneri, Evan Parker, Lucian Ban - Sounding Tears

Clean Feed の新作が届いた。まずは、共演者に興味津々のエヴァン・パーカー作品を聴く。

Sounding Tears

Sounding Tears

Mat Maneri(viola) Evan Parker(ss, ts) Lucian Ban(p)


エヴァンとマネリは何となく想像がつくけれど、ルーマニアトランシルヴァニア(ちなみにドラキュラ伝説発祥の地である)出身のルシアン・バンとの共演は意外だった。冒頭、エヴァンのソプラノに、バンが内部奏法で応じているのに虚を衝かれるが、インプロ的演奏はこの曲のみでしかも短く、あとはいわゆるフリージャズ的演奏が、トリオのほか、マネリとエヴァンやエヴァンとバンのデュオ、バンのソロといった組み合わせで披露されていく。

私にとって3人の中で最も印象的だったのはマネリのヴィオラで、今までさまざまなアルバムで耳にしていたはずだが、ここまで弦の響きに官能性を覚えたことはなかった。マネリとはデュオアルバムも残しているバンのピアノは耽美的というか抒情的な表情で、その2人に引きずられたかあるいは積極的に乗っかったのだろうが、エヴァンのサックス(とくにテナー)も抑制を利かせながらジャズ的な美を開陳していて、そういえばこの人も元々はポール・デスモンドリー・コニッツやウォーン・マーシュなどの白人クールジャズサックスが好きだった人のはずで、そうした片鱗をのぞかせてくれている。

とにかくエヴァンがバンとマネリの世界観にぴたりとはまっていて、Clean Feed における組み合わせの妙というとマツ・グスタフソンとクレイグ・テイボーンのデュオ「Ljubljana」もあったが、この共演もまた「成功」であろう。


参考動画
www.youtube.com
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