あうとわ~ど・ばうんど

Nate Wooley - Seven Storey Mountain III and IV

あれからそろそろ4週になってしまう(早い!)けれど、Sightsong さんと id:zu-ja さんに会った『メモリアル』で買った、2人の激賞アルバム。実は先週のエヴァンより前に聴いて「こりゃすごい」と思っていたが、そんな語彙貧弱な感想以外の言葉も見つからず、毎日のように聴きながらも書くのは放置していた。


Nate Wooley - Seven Storey Mountain III and IV
Pleasure of the Text Records, 2016)
Nate Wooley(tp, amp, tape) C. Spencer Yeh(amplified vln) Ben Vida(electronics) David Grubbs(g) Chris Corsano(ds) Paul Lytton(ds) Ryan Sawyer(ds) Matt Moran(vib) Chris Dingman(vib) TILT Brass Sextet


感想は相変わらず「こりゃすごい」という間抜けなものだが、もう少し頑張って書いてみようか。プロジェクト名の「Seven Storey Mountain」というのは、アメリカのカトリック司祭で作家のトマス・マートンによる自叙伝「七重の山」から取られたものであろう(ということを、さっき検索して初めて知った。こういう本が200万部の大ベストセラーになるとはすごい)。ウーリーに宗教的動機はたぶんないと思うのだが、おそらくは自身の音楽的自叙伝みたいな位置づけなのではないか。

「Ⅲ」も「Ⅳ」も、静寂の中から(ヴァイブとドラムの違いはあるが)音が立ち上がり、アンプリファイされたヴァイオリンがエレクトロニクスのような(Ⅳには他にもエレクトロニクス奏者が入っている)ドローンのような響きを敷き詰め、やがて各楽器が徐々に過激さを増し、ウーリーによるサンプリングされた音楽なども差し挟みながら、実にドラマチックな音楽を展開して再び静寂へ帰っていく。過激に盛り上がっているときであっても、メンバーの醒めた科学者のような手つきがうかがえて、そのあたりもクールでかっこいい。

なおタイトルが「III and IV」であるからには当然「I」と「II」もあって、ともに Important Records から、「I」は「Seven Storey Mountain by Nate Wooley (2011-06-14)」、「II」は「Seven Storey Mountain」として出ている。「I」はウーリー~グラブス~リットン、「II」はウーリー~コルサノ~スペンサー、それぞれ異なるトリオだったというのも興味深い。また、「IV」からさらにメンバーを増やした「Seven Storey Mountain V」もリリースされている。他作品も聴いてみたい。