あうとわ~ど・ばうんど

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Raphael Malfliet - Noumenon

興味は覚えつつ何となくスルーしていたのだが、id:kanazawajazzdays さんが何度も言及したり(こちらこちら)、id:yorosz さんが2016年のベストの一枚に選んだりしていた(こちら)ので、遅ればせながらCDバージョンで聴いてみた。
(なお正式リリースはまだ3カ月以内らしいので、カテゴリーは「新譜」扱い)


Raphael Malfliet - Noumenon
Ruweh Records, 2016)
Raphael Malfliet(bass guitar) Todd Neufeld(electric guitar, acoustic guitar) Carlo Costa(ds, per)


なるほどこれは滋味深い。抑制された音数によって創られた音楽は、それを効果的に聴かせるためにこだわり抜いたに違いない音そのもの、もそうだし、何より音と音の隙間、が心地よい。ジャズにおいては限られた空間にどれだけ多くの音を詰め込めるかが高度なテクニックの証しみたいなところがあるけれど、かつて田中啓文さんが阿部薫を「静寂を吹く男」と表現したように、どれだけ少ない音で聴かせるか、どれだけ無音を聴かせて音楽として成立させるか、というのもまた別種の高度なテクニックなのであり、この音楽はそうしたテクニックに裏打ちされているように感じる。演奏は作曲部分と即興部分がかなり厳密に練り込まれているようで、フリージャズともフリーインプロヴィゼーションともつかない不思議な音響空間、という評も見たが、私のいいかげんな耳は逆に(3人がもともと手練れのジャズミュージシャンであるという事実を抜きにして)どうしようもなく「ジャズ」を感じてしまった。それはおそらく彼らの音の扱い方でなく、間の扱い方にあるのではないかと思っていて、われわれが「ジャズ」を感じる時というのは(それがたとえ敷き詰められた音であったとしても)音と音の「間」こそ重要なのだ、ということを示しているのではないだろうか(まあ当たり前かもしれないけど)。


参考動画
vimeo.com
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