あうとわ~ど・ばうんど

Greg Osby - The Invisible Hand

昨日の今日ですが、本年もよろしくお願いします。


さて。ツイッターで年末に呟いたけれど、札幌市内某店の中古ジャズコーナーが今すごいことになっていて、とりあえず10枚ほど購入した。その中の一枚。実はこのアルバム、長いこと探していたのだった。めでたしめでたし。年末と年始をまたいでずっと聴いていた。

Invisible Hand

Invisible Hand

Greg Osby(as, cl) Gary Thomas(fl, afl, ts) Andrew Hill(p) Jim Hall(g) Scott Colley(b) Terri Lyne Carrington(ds)


アンドリュー・ヒルは80年代にブルーノートに復帰を果たしたが、かつてのような大量録音を行うこともなく、2作品のみで再び専属を離れたのにはどんな裏事情があったのか知らない。しかし2度目の復帰を果たす2006年までの間、80年代に彼のグループのフロントラインを務めたグレッグ・オズビーが2000年のアルバムに彼を招請したのは心温まるエピソードだと思う。それが縁となって最後の復帰につながったのではないか、と勝手に想像している。

裏ジャケにオズビー、ホール、ヒルの3人が写っていることからしても、3人の交歓がアルバムの中心だろう(ゲイリー・トーマスはアンサンブルのみ)。全10曲中、3人のオリジナルのほか、ジターバグ・ワルツ、インディアナ、ネイチャー・ボーイなども演奏されている。オズビーも昔はスティーヴ・コールマンと並ぶ M-Base の雄であったはずだが、曲折的ラインは控えめになり、まろやかな音色はこの当時ヒルのグループにいたマーティー・アーリックとも共通する。しかし、ヒルが数音発しただけで、オズビーの美味しいアルトも、ホールの滋味深いギタープレイすら、後景に退く感がある。やっぱりヒルは偉大なスタイリストだ、と思う。