あうとわ~ど・ばうんど

渋谷毅 市野元彦 外山明 / Childhood

Childhood

Childhood

渋谷毅(p) 市野元彦(g) 外山明(ds)


発売直後に入手してから折に触れて聴いていて、良いアルバムであることに間違いはないのだけれど、はて、では何がそんなに良いのだろう?と思うと、説明に困る。ジャケに使われている写真は、忘れ去られたかのような展望鏡(中ジャケには打ち捨てられたかのような公園)、タイトルは「Childhood」。と来れば、郷愁や喪失感を感じる音楽が展開されると思いそうだが、そうではない。穏やかで美しい、ということとも違う。柔らかで温か、間違いではないが正確ではない。優しく豊か、たしかにそうだが、それだけではない。わたしの凡庸な比喩には収まらない多義的な音楽があふれていて、ふだんは喧しく個性がバチバチぶつかり合うような音楽ばかり聴いていると、こういう演奏に接して言葉を失わざるを得ないが、心にすっと入り込むと、ゆらゆら楽土へと連れ去られる心地がするのはたしかだ。(結局なんにも説明していない)