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大友良英 / Guitar Solo 2015 RIGHT

新譜 大友良英

残る一枚、大友さんのソロアルバムを聴く。

Guitar Solo 2015 RIGHT

Guitar Solo 2015 RIGHT

大友良英(g) 松本昭彦(programming)


今年7月に出た「ギターソロ 2015 LEFT」(6月28日参照)の続編ながら、共通点は故高柳昌行氏から継承したエレクトリックギターを使用しているということのみで、全くコンセプトの違うソロアルバム。大友氏の録音した短くて2~3秒、長くても1分、大部分は10秒前後という音断片123個を素材に、16台のスピーカーのうちの一台からランダムに音源が再生されるソフトウェアを用い、確率論的には数兆分の一で構築された音楽を2チャンネルのCD仕様にしたとのこと。いわば、人知の及ばぬ偶然がもたらした音楽の作品化ということになるだろうか。


そういえば今年10月には、小埜涼子さんが全99曲の音断片のランダム再生をコンセプトにした「Alternate Flash Heads」(10月16日参照)をリリースしていて、あちらはランダム再生を聴き手に委ねていたのに対し、こちらは作り手側が非常に複雑な関数系を用いて構築した作品を提示している。本盤はギターソロという形態や作品から受ける印象からどうしても「ノンイディオマティック・インプロヴィゼーション」という語を思い浮かべてしまうのだが、人力による音楽言語の相対化と、それをシステムに委ねてしまうことに対する即興性の問題は、突っ込めばとても面白い考察が展開できそうだが、私にはその能力も資格も欠けている。でも聴いた音から確実に言えるのは、コンセプトや方法論はどうあれ、結局これは最初からこう鳴るように運命づけられていたとしか思えない、面白い音楽だった、ということだ。



ちなみに即興演奏とイディオムについては、大友さん自身が『JAMJAM日記、別冊 連載「聴く」』で論じているので、読んだことがなくて興味がある人は一読をお奨めします(それ以外の考察も面白い)。
http://www.japanimprov.com/yotomo/yotomoj/index.html