あうとわ~ど・ばうんど

トリオねじ × 坂田明

需要のない思い出話はひと段落して、待望の新作が届く。

トリオねじ×坂田明

トリオねじ×坂田明

加藤崇之(elg) かわいしのぶ(elb) 藤掛正隆(ds) 坂田明(as, cl, vo)


トリオねじの前作「トリオねじ×林栄一」は大変な秀作で、一昨年のベストの一枚にも挙げている(13年11月5日および14年1月3日参照)が、坂田明さんをゲストに迎えた今作もまた面白い(しかし、加藤さんと坂田さんの組み合わせというのは、アルバムとしてはそうとう珍しいのではないだろうか)。その面白さのカギを握っているのはやっぱり加藤さんで、これは一昨年の繰り返しになってしまうけれど、強烈な個性のサックスに対し、アサッテの方角から、と見せかけて、絶妙な対置で応酬する加藤さんのギターが実に素晴らしいのだ。そういえば、先日くうで観た「幽玄 (シューミー/かとう/せお/しょうた) 北海道4人旅」でもそんな瞬間があったことを思い出す。加藤さんのプレイはいつも、音楽に対して、いわば「アウトブリード」として機能していて、それが唯一無二の魅力となっている。同じような系統の配合ばかりではいつか飽和して衰退をたどるしかない。皆で疾走するのも確かに楽しいけれど、全員が右へ倣えではつまらない。われわれには、加藤さんのような存在が常に必要なのだ。(そういえば加藤さんは、右へ倣えの親玉の人と同級生なのだったっけ)

ところで、収録曲のうち、「一本杉のサウダージ」には激しく笑った。


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