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David S. Ware / Apogee - Birth of a Being

デヴィッド・S・ウェアがこの世を去って早や3年以上がたってしまったが、ウェアのホームレーベルだった AUM Fidelity が、彼の66回目の誕生日に素晴らしいアルバムを届けてくれた。

Apogee / Birth of a Being

Apogee / Birth of a Being

David S. Ware(ts) Cooper-Moore(p) Marc Edwards(ds)


ウェアがリーダーとして初めて行ったレコーディングで、のちに Hat Hut Records からリリースされた幻の作品(ただし、発売順では2作目になってしまう)がついにCD化され、おまけに、同じセッションで収録された残りの音源を追加した「完全版」となっているのがうれしい。1枚目がオリジナルアルバム、2枚目が追加曲という構成となっているのがまた心憎い。

録音されたのは、まだセシル・テイラー・ユニットに在籍中だった77年4月。マーク・エドワーズはテイラー・ユニットの同僚であるが、元々クーパー・ムーアを含む3人は70年代初頭から「Apogee」というグループを組んで活動していたとのことで、ウェアが初リーダーセッションに20歳ごろからの仲間を選んだのは、なかなか心温まるエピソードである。

当時、ウェアとエドワーズが27歳、ムーアは30歳。20代のウェアの音は黒々として野太く、瑞々しくもあり、疾走感、説得力、存在感はすでに後年と同じで、最後までとにかく胸が熱くなる。曲の中にはジャズ的曲想や、バップ的なメロディーラインを持つものもあって、そういえばウェアはソニー・ロリンズの熱烈なファンで、のちに師弟のような間柄となって、60年代半ばから70年代にかけてはロリンズのアパートで練習を共にしたそうで、ロリンズがウェアに循環呼吸を教えたという66年に「オン・インパルス」や「イースト・ブロードウェイ・ラン・ダウン」を吹き込んでいるという事実はなかなかに興味深いと思うのだ。

とにかく素晴らしく凄まじい演奏である。AUM Fidelity はどうやら今後も、ウェアのアーカイブ音源をリリースしてくれる計画らしくて、このアルバムがその第一弾だそうだ(CDには通常の製造番号(AUM096/097)のほか、「DSW-ARC01」と付記されている)。死してなお、感動を届け続けてくれるウェアとレーベルに感謝である。


試聴(オリジナルLP)

www.youtube.com



S・ウェアの過去記事アーカイヴ(旧ブログ)
David S. Ware Sessionography(外部サイト)
AUM Fidelity 公式HP(同)