あうとわ~ど・ばうんど

Ken Vandermark - Site Specific

8月発売の予定が遅れていた、ヴァンダーマークの豪華特製本付きソロCD2枚組がようやく届いた。


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Ken Vandermark - Site Specific
Audiographic Records, 2015)
Ken Vandermark(ts, bs, cl, bcl, photo)


特製本は縦23センチ、横20センチ、厚さ2センチ。冒頭にルイス・ブニュエルの「記憶」に関する文章が引用され、続けてヴァンダーマークの記憶に残る音楽体験や遍歴が語られる(ジョニー・グリフィンのグループにいたケニー・ワシントンのドラムソロが凄かった話とか、ジャズ評論家の父に連れられてアート・ブレイキージャズ・メッセンジャーズを観に行き、父が「覚えておけ。彼はとても有名になるぞ」と言ったのが若き日のウィントン・マルサリスで、なんとトランペット少年だったというヴァンダーマークがウィントンに話しかけると、ヴァンダーマークより2歳年長に過ぎず「ウィントと呼んでくれ」と言われた話とか、デレク・ベイリーエヴァン・パーカーら英国のフリー演奏家たちを知って衝撃を受けた話とか、なかなか面白い)。さらに収録演奏の解題があり、残りがヴァンダーマークによる写真集で、彼のアルバムジャケットによく使われている、くすんでいたり朽ちかけだったりする物(Material)たちが多い。もしかしてそれで本自体も、新品のはずなのに、表紙がはがれ、くすんだ色をしているんだろうか?笑

CDに収録されているのは、シカゴの民家(?)や、ケンタッキー州ルイビルにある石造りのボールルーム、スケートパークなどで行われたソロライブ。1枚目は英国の演奏家たち(と田中泯)、2枚目はバスター・キートンとジェイ・アダムズ(スケートボーダー)に捧げられている。1枚目後半、石造りのボールルームでのソロ演奏の響きが良く、2枚目後半、スケートパークでの演奏は屋外で行っているらしく街の様々な音が入り込んで(それがおそらく演奏にも影響を与えて)いるのが面白い。


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