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Tomeka Reid Quartet

メアリー・ハルヴァーソンが参加したトメカ・リードの初リーダー作(?)を聴く。

Tomeka Reid Quartet

Tomeka Reid Quartet

Tomeka Reid(cello) Mary Halvorson(g) Tomas Fujiwara(ds) Jason Roebke(b)


トメカ・リードは1977年、ワシントンD.C.生まれ、現在はシカゴ在住のチェロ奏者で、AACMのメンバーでもある(オジイサンたちばかりではないのだ)。グループはチェロ、ギター、ベースの弦楽器3本+ドラムスという面白い構成。アルバムは全10曲で、1曲目が何とエリック・ドルフィーの「17 West」(「アウト・ゼア (紙ジャケット仕様)」所収)、インプロが2曲(うち1曲はメアリーとのデュオ)、残りがトメカのオリジナル。

「17 West」は何とも嬉しい選曲だ。ドルフィーのオリジナルでも、チェロ入りコードレスカルテット(ロン・カーターのチェロ、ジョージ・デュヴィヴィエのベース、ロイ・ヘインズのドラムス)で演奏されており、すなわちメアリーがドルフィー役ということだ。メアリーのギターは奔放な音程とリズムで跳ね回り、別にドルフィーのフレージングには似ていないが、ドルフィー的な精神は感じ取れる気がする(メアリーには、影響を受けたミュージシャンとして、ドルフィーの名を挙げたインタビューがある)。

トメカのオリジナルは情感を湛えた曲想のものも多く、中には「中央線ジャズ」の叙情性を思わせる曲もあって、そんな演奏の中でもメアリーのギターは曲との絶妙な距離感を保って際立ち、かつ官能的であり、叙情性を補強する(やっぱり加藤さんを思い出すなあ)。先ごろのソロ作品「[asin:B0158BCBR0:title]」でも有名曲を自らの手法で奏でつつ、曲の情感は損なわなかったのと同様で、いわゆるジャズ的なフォーマットにあっても彼女のギターはやはり輝きを放っている。


参考動画

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