あうとわ~ど・ばうんど

Free Jazz Group Wiesbaden - Frictions / Frictions Now

リトアニアのレーベル NoBuisinee Records の新譜を聴く。

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Free Jazz Group Wiesbaden - Frictions / Frictions Now
NoBusiness Records, 2015)
Michael Sell(tp) Dieter Scherf(as, oboe, p, shepherds flute, shenai, prepared trumpet, bamboo flute) Gerhard König(g, prepared guitar, fl, double flute) Wolfgang Schlick(ds, metal)


ドイツのフリージャズグループ、Free Jazz Group Wiesbaden が69年と71年に遺した2枚のレコード、「Frictions」と「Frictions Now」がカップリングされての初CD化とのこと。

正直、このグループのことは発売情報を見るまで全く知らなかったのだけれど、メンバーのマルチリード奏者 Dieter Scherf が住んでいたヴィースバーデンの地元グループらしい。オリジナルLPは Scherf が主宰するLSTレーベルから、ともに500枚限定でリリースされたレア盤だそうだ(しかし、さすが日本の中古レコード市場には時々出回るようである)。

肝心の音楽であるが、同時代のドイツには既にグローブユニティーオーケストラやペーター・ブロッツマンのマシンガンセッションなどが存在し、アメリカとは違ったフリージャズの歴史が刻まれつつあったものの、ここで展開される演奏はそういった先鋭性よりも、良い意味でアメリカの尾を引きずっており、しかし私は逆にそれが面白いと思った。

「Frictions」はアメリカのジャズ(フリージャズに限らず)の混淆がみられ、オーネット・コールマンドン・チェリーエリック・ドルフィーなどの影を感じ取れる。2年後の「Frictions Now」になると、よりフリージャズ的深まりを見せる。一方で、同時代の日本の山下洋輔トリオのようなパワーミュージック的側面もあり、Scherf のアルトサックスは坂田明さんを想起させる(71年段階で坂田さんは山下トリオに参加していないし、何よりも山下トリオはまだ渡欧前なのだから、影響関係はないだろう)のが、琴線に触れたのだった。