原田依幸 with MASQ 1983
Off Note からの新作が届く。
原田依幸 with モンドリアン・アレオパディティカ・ストリング・カルテット
（Off Note, 2015）
原田依幸(cl, p) 翠川敬基(cello) 望月英明(b) 山崎弘一(b) 米木康志(b)
生活向上委員会大管弦楽団解散前後の1983年の音源が、突然のリリース。もともと、録音30年目の2013年にアナログでリリース予定だったものが、諸般の事情でＣＤで発売ということになった、らしい（その発売されなかったＬＰを紙ジャケ化したような体裁になっている）。収録は全３曲。「Ａ面」が２曲で、カルロ・ルスティケッリの「誘惑されて棄てられて」とローランド・カークの「ユーリピオンのテーマ」、「Ｂ面」が原田さんのオリジナル「カンディンスキー」という構成。
「Ａ面」では原田さんは主にクラリネットを吹く。国立音大のクラリネット科で、同窓の梅津和時さんを抑えて首席だった（と記憶する）腕前で奏でられる２曲は、「その前夜/集団疎開 Live at 八王子アローン(紙ジャケット仕様)」に収められた原田さんのオリジナル「世知のバラード」にも通じる、演歌的な猥雑さと物悲しさが全開。「Ｂ面」は一転して、ピアノによるインプロでグイグイ攻める。なるほど、両面好対照のアナログ盤としてリリースしたかった気持ちがよく分かる。
原田さんというと、どうしても、ピアノでのシリアスな即興をイメージしてしまうのだけれど、このアルバムの「Ａ面」のような演奏も、いつかライブの現場で体験してみたいものである。
本アルバムとは直接関係はないが、YouTube に80年代のおもしろい音源・映像が上がっているので紹介。
「絶倫本舗」─ 原田依幸(p) 望月英明(b) のなか悟空(ds) 1984.4.17
「ピラルク」─ 原田依幸(p) 篠田昌已(as) 西村卓也(eb) 1988.7.2
