あうとわ~ど・ばうんど

大友良英 / ギターソロ 2015 LEFT

最近、ギターばかり聴いている気がする。

ギターソロ 2015 LEFT

ギターソロ 2015 LEFT

大友良英(g, vo)


大友良英さんの「ギター・ソロ」から始まった doubtmusic の10周年記念盤は、再び大友さんのギターソロアルバム。レーベルのホームページには「早や10年」と書いてあったが、私なぞは逆に「えっ、まだ10年なの?」という具合に、もっと長く付き合っている気がしていたのだが・・。この10年間、大友さんはとても有名になって、周囲の状況も大きく様変わりしたようだが、生み出される音楽の真摯さは変わっていない。アルバムは、大友さんの師である故高柳昌行氏が愛用したエレクトリックギターを譲り受け、それを使用しての録音とのこと。


冒頭曲の「Song for Che」および、続く「Lonely Woman」は、大友さん自身これまで何度も演奏してきているが、ヘイデンやオーネットのカバーというよりは、高柳昌行のカバーであったに違いない。アルバムではこの2曲について、単音による力強いメロディーで始め、曲が持つ独特のムードに沿って崩していき、やがてノイジーな爆音へと至る。この2曲が冒頭に置かれたのは、ギターを継承するにあたり、高柳昌行の音楽と自身の音楽を橋渡しする必要があったのではないか。さらに次曲、大友さんが初めて手掛けた映画音楽である「青い凧」も同様に演奏することで、その通過儀礼を完遂したのだと私は受け取った(もちろん、これは勝手な解釈である)。そして、完全に大友さんのものとなったギターを使用し、「その街のこども」の挿入曲「街の灯」や、加川良の「教訓Ⅰ」弾き語りも披露してみせている。秋以降には全く違うコンセプトのギターソロ「RIGHT」がリリース予定だそうだが、どんな内容になるのか楽しみだ。