あうとわ~ど・ばうんど

William Parker Quartet - Live in Wroclove

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William Parker Quartet - Live in Wroclove
For Tune, 2013)
William Parker(b) Rob Brown(as) Lewis Barnes(tp) Hamid Drake(ds)


ウィリアム・パーカー・カルテット、2012年6月のライブ録音。

パーカーのベースについて『重さと速さの同居』と評したのは田中啓文さん(「聴いたら危険! ジャズ入門<聴いたら危険! ジャズ入門> (アスキー新書)」)で、『ラオウの剛の拳とトキの柔の拳が同体』と喩えたのはSightsongさん(こちら他多数)だが、2人に倣って私も『素軽さと深淵の両立』と言ってみたい(ただし、言ってみたかっただけで大して深く考えてない)。

ともかく、バンドの核はそのリーダーのベースで、さらにハミッド・ドレイクのドライヴしまくるドラムもまたサウンドの芯であり、このグループは2つの中心(焦点)からの距離の和が常に等しい楕円曲線のようなものとのイメージも成り立つ(これまた、だからどうした、という喩えではある)。

パーカーとドレイクの2人こそがこのカルテットのVIPであり、残る2管は彼らの掌の上で、楕円をさまざまな色に塗り分けていく彩りのようなものだろうか。とはいえ、ロブ・ブラウンのアルトサックスの諧謔味(本人にそのつもりはないだろうが)は、とても私好みでもある。

収録曲は、50分近くに及ぶ組曲「Kalaparusha Dancing on the Edge of the Horison」、20分近い「One for Horace」、約6分の「Theme for Rondo Hatton」という全3曲構成。それぞれ、いわば(本流からみれば)B級と呼ばれる人たちに捧げられているが、パーカーのこういう志向性も実に面白いと思うのだ。


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