あうとわ~ど・ばうんど

Mike Osborne - Dawn

Cuneiform Records のブリティッシュジャズ発掘シリーズ(なのかどうかは知らないが、なぜかとても力を入れているようだ)の最新作を聴く。


Dawn

Dawn

Mike Osborne(as) Harry Miller(b) Louis Moholo(ds) Alan Jackson(ds) John Surman(bs, ss)


60~70年代に活躍した英国人アルトサックス奏者、マイク・オズボーンのキャリア初期録音、全10曲。1~6曲目が、ハリー・ミラー、ルイス・モホロとのおなじみのトリオによる1970年の音源、7~10曲目はミラーとアラン・ジャクソン、ジョン・サーマンとのカルテットによる66年の演奏。

オズボーンのサックスの魅力は、エリック・ドルフィーオーネット・コールマンを折衷したようなスタイルと、その音だ。彼は60年代前半からキャリアがあるようだが、その時代、ヨーロッパを訪れたドルフィーコルトレーン、オーネットら(イギリスも訪れたかどうか、音源がないので確信は覚束ないが、たぶん行ってるんじゃないかと思う)に刺激を受けたであろうことは想像に難くない。このアルバムは、そのサウンドの確立期なのでは、と推察する。(ただし、私はこの辺の歴史に疎いので、できれば添野知生さんに解説してもらいたいところである)

66年の演奏は、同時代の米国のジャズマンオリジナルを取り上げており、とくに最終曲の「Agression」(Booker Little作、しかもドルフィーとの「アット・ザ・ファイヴ・スポット VOL.2」に収録されてる曲だ)に顕著だが、モダンジャズに依拠しつつ新たな世界へ乗り出そうという意欲も感じられる。

そういえば、このアルトサックスの演奏から感じ取れる「ひたむきさ」もオズボーンの魅力である。しかし、この「ひたむきさ」がゆえに、80年代以降、後半生のキャリアを棒に振ってしまうことになってしまったのではないか、とも考えられ、何とも切ない気分にさせられる。


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