あうとわ~ど・ばうんど

Rudresh Mahanthappa - Bird Calls

Bird Calls

Bird Calls

Rudresh Mahanthappa(as) Adam O'Farrill(tp) Matt Mitchell(p) François Moutin(b) Rudy Royston(ds)


事前情報を目にすることなく、購入したCDをトレイに載せ、ケースは取りあえずそのまま放っておいて、聴いてみれば、いやあいつもながらさすがのマハンサッパ節である。が、それだけではいけない。

今回の作品は、タイトルからなんとなく察しはつくが、チャーリー・パーカーがテーマ(ただし、ジャケ表面にそれらしい記載はない)。そういえば、来月12日は没後60周年だ。

タイトル曲は、厳かに始まりを告げるかのように、あるいはチェンジオブペース(あるいはディレクション)を企図するかのように、5つの短いヴァリエーションがアルバムのそこかしこに配置されている。イメージとしては、「N/Y」における新垣さんと吉田さんの即興曲に近いかもしれない。それに挟まれるようにマハンサッパのオリジナルが演奏されているが、それらはどれも、チャーリー・パーカーの有名曲に基づくものだそうだ。

ちなみにその有名曲とは、「Donna Lee」「Relaxin' At The Camarillo」「Parker's Mood」「Dexterity」「Steeplechase」「Now's The Time」「Confirmation & Barbados」「Anthropology」であることが、中ジャケで明らかにされる。

もっとも、さっき「基づく」といったが、原語は「based」になっている。これがコード進行を借りているのか、単にインスパイアを受けたというだけの意味なのか、実のところ、私の馬鹿耳では判別できない。注意深く聴けばそれらしい雰囲気やフレーズの断片を聴きとることも可能である(「Dexterity」を基にした曲は、スティーヴ・コールマン&ファイヴ・エレメンツが演奏するパーカーナンバーに近いムードもある)ものの、全体としては原曲の趣きはあまり感じられない。

ライナーノートでマハンサッパ自身、12歳で初めてパーカーを聴いてから世界が永遠に変わってしまったと告白しているが、これはトリビュートアルバムではない、とも述べている。たぶん彼の意図を推察するに、パーカーの曲を演奏したりスタイルを真似たりすることでなく、演奏行為によってジャズに新たな何かを付け加えることが、「パーカーの子どもたち」の使命であると宣言しているのではないだろうか。


プロモ