林栄一 小埜涼子 - Beyond The Dual
既に一昨夜(日付上は3日前)のことだが、札幌ジェリコで、「林栄一、小埜涼子SAX DUO TOUR 2014 ゲスト瀬尾高志」を観た。
非常に楽しみにしていたライブで、降雪の中、溜まった仕事を途中で放り出して(おかげで翌日は大変だった)観に行ったが、いやあそれだけの甲斐はあったというものである。
2012年のベストにも選んだ「Undine」の衝撃から2年。初めて生で観る小埜さんのアルトサックスは自在性に溢れ、非常に鋭く迫ってきた。あの、林さんの突き抜ける音のスピードに対しても、(さすがに併走とまではいかないが)後ろをぴったりマークしている感じがまた好ましかった。
道内ツアーゲストの瀬尾も(そういえば、東京・横浜ゲストの不破氏も、小樽飛び入りの奥野氏も、みんな北海道出身ですね)、「くう」と違ってジェリコのようなハコでは音が放射状に拡散せずまっすぐ飛んでくるせいか、いつもより迫力が感じられてとても良く、弓弾き時にサックスの2人も吹き伸ばしている箇所があり、その瞬間の官能性たるや鳥肌モノだった。
約2時間、こちらの集中力を途切れさせることなく、かといって常に張りつめているというのでなく程よくリラクゼーションがあり、心地よい時間だった。
小埜さんは北海道出身にもかかわらず、今回が初の北海道ライブだったそうだが、これを機会にちょくちょく来道してほしいものである(と、ライブ終了後伝えた)。
で、その場で買ったライブ会場限定盤CD-R。
林栄一 小埜涼子 - Beyond The Dual
林栄一(as) 小埜涼子(as)
インプロデュオ4曲、それぞれのソロをつなげて1曲、耳タコお馴染み「Naadam」の全6曲。ライブはデュオやソロもありつつ基本はトリオだったので、当然アルバムから受け取る感想は違う。CD-Rとはいえ音質にはこだわり抜いたそうで、小埜さん推奨の「大音量でヘッドフォンで」聴いてみると、これは本当に凄い。
ライブでは2人の指の動きを見ていないと時折どちらがどらちか分からなくなる瞬間もあったが、アルバムはライブと同様に左に小埜さん、右に林さんの配置で、聴いてみれば音色もフレーズの発想も全然違う。が、絡まりあったり微妙な距離をとったり触発されたり反発したり、2人のコンビネーションが絶妙で素晴らしい。しばらく愛聴するだろう。
また、イギリスのレーベルから出したという、小埜さんのサックスと打ち込みによるソロアルバムも購入。
小埜涼子(as, key, etc.)
これも非常に楽しい作品。soundcloud の試聴プレーヤーを載せておく。