あうとわ~ど・ばうんど

渡辺貞夫 - ラウンド・トリップ

久しぶりに再発されている。

ラウンド・トリップ

ラウンド・トリップ

渡辺貞夫(sn, fl) Chick Corea(p, elp) Miroslav Vitous(b) Jack DeJohnette(ds) Ulpio Minucci(p)


ナベサダのアルバムで最も好き(「スイス・エア」が同率一位)な一枚。チック・コリアミロスラフ・ヴィトウスジャック・ディジョネットという当時の一線級トリオとのセメントマッチだ。

録音は1970年7月。チックとディジョネットはマイルス・デイヴィスのグループ在籍中、前月にフィルモア4日連続出演(「マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア」)を果たしたばかりで、翌月にはワイト島ライヴ(「マイルス・エレクトリック 〜 パフォーマンス・アット・ザ・アイル・オブ・ワイト[DVD]」)が控えている時期。ヴィトゥスは翌月にジョー・ザヴィヌルを含むメンバーでリーダー作(「Purple」)を吹き込み、年末のウェザー・リポート結成へと向かっていくところ。

アルバムは、1曲目のタイトル曲(前半の「going」)冒頭から、凄まじい疾風。渡辺貞夫が(リーダー作で)最もフリーフォームに接近した演奏と言っていいだろう。その後、ナベサダがこの路線を掘り下げなかったのが惜しい。そういえば、「ラウンド・トリップ」も「パストラル」も、初めて聴いたのがこのアルバムだったので、のちに通常ヴァージョンを聴いた時には(おそらく通常の人とは逆ルートで)驚いたものだった。